西武 30周年で“初陣” 次は“野武士軍団”復活

[ 2008年6月27日 07:14 ]

 球西武は27日、大宮公園野球場(さいたま市)にロッテを迎え、公式戦を開催する。球団創設30周年の節目に本格化した地域密着活動の目玉として、パ・リーグでは54年ぶりとなる大宮開催に球団を挙げて取り組んできた。

 JR大宮駅東口の商店街では、先月から大宮開催を告知するポスターが目立ち始めた。「大宮初陣」と書かれ、大宮東高出身の平尾博嗣内野手ら地元選手を前面に出した。地元商工会と協力し、1万枚が街に広がった。
 「これはただの“売り興行”ではない。地域密着の大事な第一歩」と西武球団の荒原正明事業部長。何度も大宮に足を運び、ポスター以外にも、チケット販売や野球教室を行うなど、興行権を買った「埼玉スポーツ振興会」と二人三脚で話を進めてきた。
 振興会会長の田村琢実・埼玉県議は「野球は埼玉を活性化させる魅力的なツール。球団の心意気を感じる」。この1カ月で西武ファンクラブに600人もの県庁職員が加入した。約2万枚のチケットは完売ペース。かつてベーブ・ルースや長嶋茂雄が躍動した球場は、地域密着の夢を描く舞台になる。
 数年前から温めていた大宮開催の実現に向け、4月の球団組織替えで「地域振興グループ」が経営企画部内に新設された。現場を回り、必要性を感じた職員の声で生まれた部署だった。
 チーム名に「埼玉」を冠しただけではない。昨年の裏金問題発覚を契機に、組織に柔軟性が出始めた。1月には球団、球場を持つ西武鉄道、球場を運営する西武レクリエーションの3社が野球事業の一本化を確認。人材を集約することに成功し、「組織内の(仕事の)スピードが格段に上がった」(荒原部長)。
 昨年の観客数は110万人に達せず、12球団最低。小林信次球団社長は「すべては危機感から始まった」と言う。今年の交流戦の1試合平均観客数は昨年比で12球団トップの23・5%増。大宮開催の翌日からは、かつて福岡を舞台に“野武士軍団”といわれた西鉄ライオンズを復活させる催し「ライオンズ・クラシック」も行う。
 「所沢から埼玉のチームになって」とエールを送るのは上田清司・埼玉県知事。西武の後藤高志オーナーも「ぜひ地域密着を成功させたい」と息巻いている。

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2008年6月27日のニュース