桑田 シュートで再びメジャー目指す

[ 2008年2月23日 06:00 ]

まるでダンスユニットの様に体をほぐす桑田(右端)

 パイレーツとマイナー契約を結んだ桑田真澄投手(39)が21日(日本時間22日)、米フロリダ州・ブラデントンでフリー打撃に初登板した。昨秋に右足首の手術を受け、打者相手に投げるのは約6カ月ぶりとなったが、打者3人に対し、32球を投げ、安打性の当たりは3本。自ら「レイザーボール」と名付けた切れ味鋭いシュートで主砲ラローシュを沈黙させた。新たな武器を手に、4月に不惑を迎える右腕は再びメジャーのマウンドを目指す。

 切れのある球が小気味よく捕手のミットに収まっていく。先にキャンプインした投手の方が仕上がりが早いとはいえ、14スイングでヒット性の当たりは3本。「子供のころからやっている。相変わらず(打者への)感覚はあった。気持ち良かった」。約6カ月ぶりに打者に対じした桑田は、満足げな表情でフリー打撃登板を終えた。
 32球の内訳は直球が14球、残り18球はすべてシュートだった。巨人時代はひじへの負担を考慮して封印していた球種。しかし、メジャーへの道を切り開くために“解禁”を決断し、1月の自主トレで自ら「レイザー(Razor=カミソリ)ボール」と名付けた。
 新たな武器をテストするには申し分ない相手が打席に立った。昨季21本塁打をマークし、今季も4番を任される左の強打者ラローシュだ。1球目に直球を投げた後は8球連続のシュート攻め。「全部バッターボックスのラインとベースの間ぐらい」という絶妙な制球力で、打者から遠ざかっていく外角へ投げ続けた。
 バットを出したのは最後の2球だけで、あとは見逃し。捕手ドーミットが「シーズンさながらの切れがある。ラローシュはボールと判断したわけじゃなく、手が出なかったんだ」と絶賛すれば、桑田も「打者は(球種が)分かっているから、なかなか見逃しは取れないんだけどね」と手応えをつかんだ。
 日本ではシュートは右打者に効果的だが、メジャーは外角のゾーンが広い分だけ左打者に威力を発揮する。「きっちり低めに投げればサードゴロ、ショートゴロになる」と桑田。昨季は大きく縦に割れる“レインボール(カーブ)”で翻ろうしたが“レイザーボール”と組み合わせれば、さらに投球の幅は広がる。
 昨季限りでの引退も考えたが「甲子園、そしてジャイアンツでも頂点に立った。だからメジャーでも1番になってみたい」という思いを胸に再び戻ってきた。この日の投球で右足首への不安は吹き飛んだ。中継ぎ3枠を争うし烈な戦いに「結果を出さないと先はない」と危機感を示しながらも「あとは強さと安定感を増やしたい」と自信も語った。もう一度あのマウンドへ――背番号18は力強い一歩を踏み出した。

続きを表示

2008年2月23日のニュース