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がん手術控える師匠思い動揺…しずちゃん、3度過呼吸に

[ 2012年2月16日 06:00 ]

スパーリング終了間際にロープにもたれ泣き出す山崎

 アマチュアボクシング女子の世界選手権ミドル級日本代表のお笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブエージェンシー)が15日、東京都品川区のワタナベジムで練習を公開した。約1時間30分で3度過呼吸の症状が出たが、何とか完遂。ロンドン五輪の出場枠を争う世界選手権(5月9~20日、中国・秦皇島)へ向けて、日の丸を背負うプライドをのぞかせた。

 ストレッチ、縄跳びを終え、リングに上がってステップワークの練習を始めた時だ。山崎は突然両手で顔を覆った。呼吸のテンポが速くなり、うめき声をもらした。過呼吸の症状だった。

 10分後に落ち着きを取り戻して練習を再開したが、再び過呼吸に陥った。それでも再びリングに上がり、梅津正彦トレーナー(43)との3分2ラウンドのスパーリングに突入。残り30秒で、また呼吸が激しくなった。この日3度目の過呼吸だ。それでも号泣しながら左右のパンチを繰り出し、最後まで練習を続けた。

 過呼吸症候群は精神的な不安が原因と言われる。お笑いの舞台では何度すべってもニヤリと笑って動じない鋼鉄のハートを誇るが、繊細な一面も併せ持つ。指導を受けてきた梅津氏は皮膚がんの手術のため、この日都内の病院に入院。最低でも2週間は退院できない。山崎は「体調は大丈夫です。きっとまた戻ってきてくれると思うけれど、この練習を大切にしたかった」と言った。梅津氏への感謝の思いが気持ちを高ぶらせた。さらに注目度が増して報道陣が大挙押し寄せたことも重圧になったのかもしれない。

 先週末の全日本女子選手権を制し、3月16~26日のアジア選手権(モンゴル)にも出場する山崎は「日本の1位を自覚して、もっと厳しくやらなければいけない」と自らに言い聞かせた。だが、梅津氏は「疲れもあった。今までも練習で呼吸困難になることはあったが、いつも練習を続けてきた。強くなってますよ」と褒めた。どんな困難な局面でも、気持ちを奮い立たせて戦うことができる。そんな底知れないパワーをアピールした。

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2012年2月16日のニュース