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【浜田剛史氏 視点】尚弥のプロ2度目のダウンは“ネリ戦と同じ左フック”ではなく全く別もの

[ 2025年5月5日 18:23 ]

<世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ 井上・カルデナス>あっ…!2R、ダウンする井上尚弥(撮影・木村 揚輔)
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 井上のプロ2度目のダウンは、「ネリ戦と同じ左フック」と思った人が多かったと思うが、今回は、ネリ戦とは全く違うダウンだった。ネリは左構え、カルデナスは右構えの違いだけでなく、左をもらったタイミングが異なっている。

 ネリは井上の右に合わせたカウンターで、井上は巻くように倒れた。カルデナスは井上の左フックの打ち終わりを狙ったもので、後ろに倒れている。井上が強引だったという共通点はあるが、「井上には左フックが当たる」という単純な話にはならないだろう。

 その2回のダウン後のセコンドの指示が、素晴らしかった。要約すると「ボディーから攻めて上を狙え。ボディーの後は必ず頭と体を振れ」。有利の下馬評の中でのダウンで動転しがちだが、「しっかり守れ」「強引に攻めろ」ではなく、的確で冷静な指示だった。セコンドが井上の圧倒的強さを引き出している証拠で、最高のチームだと思う。

 その指示通り、3回を休んだ井上は4回から、大振りになったカルデナスの左フック、右ストレートを見極め、ボディーだけでなく、ブロックの上から強いパンチを数多く出した。5回以降はコンビネーションを増やしてピッチも上げ、相手を追い込んでいった。

 井上は倒すことを求められ、自身も倒すことを望むスーパースターだ。KOを狙えば強引になり、この日のようにパンチももらう。その中で、ダウン後に冷静に立て直して自分の形に持っていき、しかも、最後にはダウンを奪い、期待に応えてTKOするのだから、やはり実力は桁外れだと感じる。その意味で、今が、彼のキャリアの中で最も総合力が高いといえるだろう。
(元WBC世界スーパーライト級王者 浜田剛史)

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