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天心 ボクシングでも勝った!キック42戦無敗の神童伝説第2章、課題と収穫の初陣6ラウンド

[ 2023年4月9日 04:45 ]

スーパーバンタム級6回戦   ○那須川天心《判定勝利》与那覇勇気● ( 2023年4月8日    有明アリーナ )

4回、与那覇(左)に左ストレートを見舞う那須川(撮影・島崎忠彦)
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 キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心(24=帝拳)が完勝デビューを飾った。日本バンタム級2位・与那覇勇気(32=真正)とのスーパーバンタム級6回戦で、2回にダウンを奪うなど“準フルマーク”の3―0判定勝ち。KOは逃したものの、新たなファン層も会場に駆けつけた会場で、プロボクシングに新風を吹かせるべく新たなスタートを切った。

 頭を抱えてコーナーへ戻り、勝利を告げられると苦笑いを浮かべた。ジャッジ1人が1回を与那覇のラウンドとしただけで、ほぼフルマークの判定勝ち。「倒せはしなかったけどダウンを取って勝てた。これで“ボクサー那須川天心”として見てくれると思うけど、どうですか?」。観客席からの拍手に、天心は少し表情を緩めた。

 名リングアナウンサーのジミー・レノン氏に名前をコールされ、キックボクシング時代と同じ入場曲、矢沢永吉の「止まらないHa~Ha」を口ずさみ、踊りながら入場。従来のボクシング会場では聞かれなかった、女性や子供からの「テンシーン!」という歓声を浴びながらリングに上がった。

 圧巻のスピードとテクニックを披露した。ガードの隙を突くワンツーがビシビシと決まり、2回にはバランスを崩した相手を右フックで引っかけてダウンを奪取。「ダメージがあったかといえばそうではないけど、そういうのでもダウンになるんだなと、ちょっとびっくりした」。ボクシングらしいコンビネーションを見せたかと思えば、天へ突き上げるアッパーなどトリッキーな動きも。4回にはカウンターの左でぐらつかせてからラッシュをかけたが、レフェリーストップには持ち込めず「止めてくれないから、マジかと思った」と首をひねった。

 公式戦のリングは、東京ドームに5万6399人を集めた昨年6月のキックボクシング頂上決戦「THE MATCH」以来293日ぶり。シューズを履き、間合いもステップもラウンド数も全く違う格闘技に昨年10月から取り組み、肉体も戦い方もボクシング仕様に変えた。当初、スパーリングは4ラウンドももたなかったが、今年2月の米国合宿では一日平均6ラウンドを消化。「成長が目に見えるように分かって、マジ楽しかった」と手応えを実感していた。

 「単純に強くなりたい、人生で挑戦し続けたい」と転向を決意。当面の目標を世界王者に置き「ボクシングでも必ず世界を獲ろうと思っている。王者を目指すには、こういう試合じゃダメ」と意識は高い。夏頃が予想される次戦へ「これが那須川天心の姿だとは思ってほしくない。まだまだ伸びるし、自分でも可能性を感じている。早くボクシングをしたい」と表情を引き締めた。

 ◇那須川 天心(なすかわ・てんしん)1998年(平10)8月18日生まれ、千葉県松戸市出身の24歳。5歳で極真空手を始め、小6で転向したキックボクシングではRISEでバンタム、フェザー級の2階級制覇など42戦全勝(28KO)。18年大みそかのエキシビションで元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)に1回TKO負け。22年6月の「THE MATCH」(東京ドーム)で元K―1王者の武尊に判定勝ちした。身長、リーチともに1メートル65のサウスポー。

 ≪最近の注目選手デビュー戦≫
 ☆井岡一翔 B級プロテストに合格し、09年4月に大阪府立体育会館でタイのフライ級王者トンタイレック・ポーウォラシンとのライトフライ級6回戦に3回TKO勝ち。

 ☆井上尚弥 B級ライセンスながら特例でA級デビューが認められ、12年10月に後楽園ホールで東洋太平洋ミニマム級7位クリソン・オマヤオ(フィリピン)との49キロ契約8回戦に4回KO勝ち。

 ☆村田諒太 A級でプロテストに合格。13年8月、有明コロシアムで東洋太平洋ミドル級王者&日本スーパーウエルター級王者の柴田明雄(ワタナベ)との73キロ契約6回戦に2回TKO勝ち。

 ☆武居由樹 格闘家としての実績が認められてB級プロテストに合格。21年3月、元中日本バンタム級新人王の高井一憲(中日)との54.5キロ契約6回戦に1回TKO勝ち。 

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