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天心 ボクシングプロテスト合格!日本1位圧倒、帝拳・本田会長太鼓判「1年以内に日本王者」

[ 2023年2月10日 04:50 ]

スパーリングで南出(右)を攻める那須川(撮影・木村 揚輔) 
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 ボクシング転向を表明していた“キックボクシング界の神童”那須川天心(24=帝拳)が9日、東京・後楽園ホールでプロテストを受験して合格した。プロ格闘家としての実績が認められて6回戦出場が可能なB級を受験し、実技テストのスパーリングでは日本バンタム級1位の南出仁(27=セレス)を相手に抜群のスピードとセンスを披露。4月上旬に都内で6回戦デビューする予定で、帝拳ジムの本田明彦会長(75)は1年以内の日本王座獲得に太鼓判を押した。

 後楽園ホールで1人だけという異例のプロテストには報道陣約100人が集結。1問不正解で97点だった筆記試験まで撮影される異様な状況だったが、天心は「何かに合格するというのはうれしい。受験は高校以来なので凄く新鮮」とスターらしく笑顔で応じた。

 本格的なボクシングの練習は昨秋から。だが、3ラウンドのスパーリングでは3月に日本王座挑戦を控える南出を上回った。日本ランク1位のパンチをブロックやダッキングでほとんど防いだディフェンスは圧巻。左ジャブを複数使い分け、ワンツーやカウンターはタイミングが絶妙とあって、南出も「全てが速かった。洗礼を浴びせようとしたがダメだった」と脱帽した。

 「自信になるし、これで(ボクシング転向の)本気度が伝わったかな」という天心を、本田会長は「練習でもまともにパンチをもらったことがない」と評価した。殿堂入りしている世界的プロモーターは「60年以上やっているが、あんな選手は見たことがない。人の10倍くらい早く学習する」と絶賛。今月末から、約2週間の米ラスベガス合宿に送り込み、4月のデビュー戦に勝てば次は8回戦を用意する方針で「間違いなく1年以内に日本王座を獲る」と断言した。

 階級はバンタム級かスーパーバンタム級という天心は「ボクシングでの目標はないが、ベルトは獲って証明したい」ときっぱり。東京ドームに5万6399人を集めた昨年6月の「THE MATCH」をボクシングでも期待する声に「それを超えるカード、熱狂を生みたい」と約束した。

 ▽ボクシングのプロテスト 日本ボクシングコミッション(JBC)が行い、受験資格は16~34歳。筆記、計量、検診、実技(スパーリング)で合否を判定する。ボクサーライセンスはA級(8回戦以上可)、B級(6回戦まで)、C級(4回戦)があり、一般的にはC級を受験するが、アマや他格闘技での実績が認められればB級以上で受験も可能。A級受験者には五輪金メダルの村田諒太がいる。井上尚弥ら過去9人がB級合格ながら特例でA級デビューした。

 ≪他の格闘技から転向した主な世界王者≫
 ▼ムエタイ センサク・ムアンスリン(タイ)は世界最速記録のプロ3戦目でWBCスーパーライト級王座を獲得。ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)は辰吉丈一郎から奪ったWBCバンタム級王座を長谷川穂積に敗れるまで14度防衛した。

 ▼キックボクシング 元WBO、WBC世界ヘビー級王者ビタリ・クリチコ(ウクライナ)はキックボクシングのプロで35戦34勝。93年には日本でも戦った。アマ210戦後にプロ転向し、27歳で世界王者。現ウクライナ・キーウ市長。

 ▼日本拳法 元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一(帝拳)は2歳で始めた日本拳法で高校時代は無敗、明大で主将も務めた。プロボクシングデビューから世界王者まで11年を要した。

 ◇那須川 天心(なすかわ・てんしん)1998年(平10)8月18日生まれ、千葉県松戸市出身の24歳。5歳で極真空手を始め、小6で転向したキックボクシングではRISEでバンタム、フェザー級の2階級制覇など42戦全勝(28KO)。18年大みそかのエキシビションで元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)に1回TKO負け。22年6月の「THE MATCH」(東京ドーム)で元K―1王者の武尊に判定勝ちした。身長、リーチともに1メートル65のサウスポー。

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