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王者・花形冴美、ラストマッチでドロー防衛 10歳下の松田に苦戦も「自分の殻破れた」

[ 2021年3月18日 21:59 ]

<IBF女子世界アトム級タイトルマッチ10回戦>松田恵里(左)に右ストレートを浴びせる王者・花形冴美
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 プロボクシングのIBF女子世界アトム級タイトルマッチ10回戦は18日、東京・後楽園ホールで行われ、この試合限りで引退を表明していた王者・花形冴美(36=花形)は挑戦者で同級6位の松田恵里(26=TEAM10COUNT)と引き分け、2度目の防衛に成功した。

 10歳若い挑戦者の軽快なフットワークとスピードに苦しむ場面もあったが、最後まで前に出る姿勢を貫いた。ジャッジ3者の採点は93―97、95―95×2で0―1のドローと、ギリギリでの防衛となったが、王座を守ったまま、約12年の現役生活に幕を下ろした。

 「自分の中では“楽しむ”がテーマだったけど、緊張もあったし、勝負事で楽しむのは難しいなと思いました。でも、後半吹っ切れたというか、今までの自分の殻を破れた気がするので、悔いのない試合はできました」

 医師を志して北里大に進学しながらボクシングに魅了されて中退。師匠である花形進会長と同じ5度目の世界挑戦で王座を獲得した。ラストマッチは偶然にも母の吉本知子さんの64回目の誕生日。「ボクシングをやることを反対していたけど、毎試合欠かさず応援に来てくれた。子供は親を選べないけど、母のもとに生まれて良かったです」と感謝した。

 19年11月にJBC審判員の岡庭健さんと結婚。「子供が欲しい。年齢的になるべく早く出産したい」という思いもあり、「現役は長くてもあと2年」と決めた。また、セカンドキャリアとして小学教員を目指し、昨秋から通信制大学で学んでいる。

 王者のまま引退するが、「過去の栄光もプライドもリングに置いてきた。自分はこれからチャレンジャー」と言い切る。最短なら2023年春には教員になる夢も実現する。ボクシングからは離れるが、「自分の経験を生かし、失敗を恐れずにチャレンジする大切さを伝えていきたい」と第二の人生を歩む姿を思い描いていた。

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2021年3月18日のニュース