山中 敵陣営視察に手の内隠し「普段打たない」アッパーで幻惑
WBC世界バンタム級タイトルマッチ 王者・山中慎介≪12回戦≫同級1位ルイス・ネリ ( 2017年8月15日 島津アリーナ京都 )
具志堅用高(元WBA世界ライトフライ級王者)の日本記録に並ぶ13連続防衛を狙う王者・山中慎介(34=帝拳)が9日、都内のジムで練習を公開した。世界戦では過去9KO勝ちで、内山高志(元WBA世界スーパーフェザー級王者)が持つ世界戦10KO勝利の日本記録も懸かる注目の一戦。挑戦者ルイス・ネリ(22=メキシコ)の陣営が視察に訪れる中スパーリングは軽めの内容で珍しくアッパーを披露するなど手の内を隠した。
約70人の報道陣にネリのトレーナーとマネジャーも見守った2ラウンドの公開スパー。右ジャブで距離を取っていた山中が、いきなりパートナーに左右のアッパーを放った。山中の公開練習を視察した挑戦者陣営はV7戦(14年10月)のスリヤン(タイ)以来で、山中は「普段打たないアッパーを多めにしておきました」とニヤリ。練習でもほとんど見られないパンチが、相手を幻惑する目的だったことは明らかだった。
23戦全勝17KOのネリは「今までで最強の挑戦者」(大和心トレーナー)。気を引き締めて対策に取り組んだ分、V13の重圧を感じずに済んだが、やや入れ込みすぎて先月中旬に調子を崩した。しかし、大和トレーナーが練習量を調節し、約10日前に「腰の張りがスッと抜けた感じでスムーズに動けるようになった」と山中。生命線である足が動くようになってパンチの切れを取り戻し、体重もこの日でリミット(53・5キロ)まで2キロ以内と軌道修正できたという。
ネリは来日時に「6回KO」を予告。それを聞いた王者は「じゃあ5回。それとも6回KOを逃した後の7回か、当日考える」と話して笑わせたが、「一番頼りにしているのは左ストレート。もらっていない選手はほとんどいない。それをネリ戦でも証明するだけ」と言い切った。KO防衛なら内山と並ぶ日本記録の世界戦10KO勝利。「V13と同じで記録にこだわりはないけどKOで勝つのが一番の理想」と話し、「内山さんと(同僚の元WBC世界スーパーフェザー級王者)三浦(隆司)の引退はちょっと寂しい。同じ世代の王者としてまだまだ強いところを見せられたら」と真剣な表情になった。
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