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年末ボクシング興行で7世界戦 海外にアピールする好勝負は生まれるか

[ 2015年12月29日 08:35 ]

今月27日、ダブル世界戦の調印式でグローブをチェックする(前列左から)井上尚弥、大橋秀行会長(後列右から)八重樫東、松本好二トレーナー

 先日、都内で行われたボクシングのダブル世界戦の予備検診で、大橋ジムの大橋秀行会長が相手陣営と和気あいあいと写真撮影を行っていた。一緒に写真を撮ろうと求めてきたのは、IBF世界ライトフライ級タイトルマッチで八重樫東が挑戦するメキシコ人の王者ハビエル・メンドサのトレーナーたち。大橋会長はにこにこしながら「(自分は)メキシコでは有名なんだ。リカルド・ロペスと戦っているから」と教えてくれた。

 リカルド・ロペスはプロ・アマを通じて一度も負けることなく引退したメキシコボクシング界の英雄。最初の世界戦の相手が当時WBC世界ミニマム級王者だった大橋秀行会長だ。結果はロペスの5回TKO勝利。メキシコのボクシングファンはロペスの伝説の始まりに大橋会長がいたことを覚えているのだ。

 11月のWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチの時には白井・具志堅ジムの具志堅用高会長が相手陣営から熱烈な歓迎を受けていた。愛弟子の江藤光喜が挑戦したメキシコ人の王者カルロス・クアドラスの父・ロサリオさんは具志堅会長のファンで、長女を「グシケン」と名付けたほど。メキシコ人のフローレスがWBA世界ライトフライ級王者だった具志堅会長の防衛を13で止めたことをよく覚えているという。

 大橋会長も具志堅会長もメキシコや米国で試合をしたわけではない。当時はもちろんインターネットもユーチューブもなかった。それでも海外のボクシングファンの記憶に残っているのは、強い相手といい勝負をしたからだ。

 恒例となってる年末のボクシング興行。今年は29日、31日の2日間で、4興行7世界戦が行われる。現在9人いる日本人世界王者のうち、井上尚弥、内山高志、田口良一、井岡一翔、高山勝成、田中恒成の6人が防衛戦を行い、元世界王者の八重樫東が3階級制覇を狙う。これだけ王者がいて、同時に試合が行われると、日本のファンにアピールするのも大変だ。ただ、いい試合をすれば、日本のファンはもちろん、海外のファンの知るところにもなる。昨年は井上尚弥が世界王座計27度防衛のオマール・ナルバエス(アルゼンチン)に衝撃的な2回KO勝ちし、世界に名を売った。今年は対戦相手にビッグネームがいないのが少々残念だが、世界にアピールする好勝負が生まれてほしい。(柳田 博)

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2015年12月29日のニュース