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村田、世界戦へ“追試” 米デビュー戦白星も見せ場なく「情けない」

[ 2015年11月9日 05:30 ]

ノンタイトル10回戦でガナー・ジャクソンに判定勝ちした村田諒太

73・4キロ契約10回戦 ○WBC5位・村田諒太 判定 ガナー・ジャクソン●

(11月7日 米ネバダ州ラスベガス)
 ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太(29=帝拳)は米デビュー戦で3―0の判定勝ち。連続KOは逃したが、プロ通算8戦全勝とした。通算31戦でKO負けのない元世界ランカーにジャッジ1人が8点差をつける大差も、見せ場をつくれず厳しく自己評価。村田が契約する米プロモート大手トップランク社のボブ・アラム氏(83)は5段階でC評価をつけ、来年末の世界戦実現へ米国での“追試”を課した。

 金メダリストでも一筋縄ではいかないのが、層の厚いミドル級の厳しさだ。大差の判定勝ちにもかかわらず、自身が理想とした展開に持ち込めなかった村田は、リング上で何度も首を横に振った。インタービュー後は背中を丸めて椅子に座り、敗者のようにうなだれると「倒して勝ちたかった。これで金メダリストと言ったら他の選手に失礼。非常に情けない」と厳しく自己評価した。

 史上初の世界6階級制覇王者オスカー・デラホーヤらレジェンドたちが血と汗を流したトーマス&マックセンター。カラフルなライトに照らされた大舞台で、米デビュー戦を迎えた29歳は憧れのラスベガスのリングに期待を込めて駆け上がった。出だしこそ、緊張で表情はこわばったが、雰囲気にも慣れた2回からは笑顔も広がる余裕ぶり。しかし、その顔つきは次第に焦りへと変わっていった。

 身長が7センチ低いジャクソンが頭を下げた時のボディー打ち。ガードが下がれば側頭部へのフック。以前は1度確認するだけだった相手の映像も、分岐点となる試合だけに2度見て対策を練った。右肩痛の影響で試合間隔は空いたが、スパーリングは最多70回を数え「今までの自分とは全く違う」と練習も好調。ボディー攻めで戦意を削り、ジャブも突いたが「その先が出ない」。KO負けのない相手をスピードやパワーなど突出した武器を持って崩すことができず、決め手のない自らを「実力不足」と酷評した。

 プロモーターのアラム氏は5段階でC評価。試合後は「OKだけどグッドじゃない」と言い「もう1試合見たい。そこで良ければ2戦挟んで世界戦」と世界挑戦へ米国での追試を課した。ボクサーであれば誰もが夢見るラスベガスだが、自信もあっただけに悔しさも大きかった。ただ、世界戦への通過点と考えれば、鮮やかなKOよりも、次への原動力となる無念さは収穫であり、生まれ変わるためのきっかけになるはずだ。

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