×

長谷川 来春にも世界復権 “攻防一体”判定3―0快勝

[ 2012年12月23日 06:00 ]

10回、サントス(左)相手にパンチを繰り出す長谷川

プロボクシング 55・8キロ契約10回戦 ○長谷川穂積 判定 アルツロ・サントス●

(12月22日 神戸市立中央体育館)
 プロボクシングの元世界2階級王者でWBCフェザー級6位の長谷川穂積(32=真正)はノンタイトル10回戦でWBC世界スーパーバンタム級18位のアルツロ・サントス(26=メキシコ)に判定3―0で快勝。世界前哨戦を制し、来春にも世界王座への返り咲きを狙う。

 エンターテイナーの本性がうずいた。長谷川は徹底的に見直した防御で「パンチをもらわず、きれいな顔で帰ること」を目標に掲げた。ただ、実践は難しい。反撃して連打を叩き込めば場内は沸く。ファンの敏感な反応には逆らえず、残り2回は足を止めて激しく打ち合う場面もあった。

 「まずガードを固めてパンチをもらわない。面白くないボクシングだけど、それが理想の形。でも途中からダメでした」

 毎回のようにロープを背負ったのは相手のコンビネーションを見極めカウンターを狙うため。危険なシーンは皆無で左フック、ストレートをヒットさせた。だが北京五輪メキシコ代表のエリートに完勝しても「練習してきたことの50~60%ぐらい出せたかな。4月の復帰戦は5%だったけど」と満足はなかった。

 WBC世界バンタム級で国内歴代2位の10連続防衛。10年11月に同フェザー級で飛び級2階級制覇を達成した。輝かしい実績を残し、一時は目標を見失った。昨年4月に王座から陥落。無冠で練習に励むうちに「まだ自分が何者かも分からないデビュー当時の気持ち」を思い出した。同時に競技スタイルも本来のスピードを生かした攻防一体の“打たせずに打つ”原点回帰を目指してきた。

 来春にも世界王座返り咲きを狙う。帝拳ジムの本田明彦会長(65)は「きょうの様子を見れば動きはスーパーバンタムの方がいい」と話した。ただ激戦区の階級だけに絞らず、1度王座に就いたフェザー級との両にらみでチャンスを探る方針だ。いずれにしろ3度の世界奪取となれば柴田国明、輪島功一、辰吉丈一郎、亀田興毅に続く国内5人目の快挙。ボクシング界のエースが復権する日は遠からず、やってくる。

 ▽長谷川が狙う世界王者 スーパーバンタム級は、WBA王者が4度防衛中のギレルモ・リコンドー(キューバ)。WBCはアブネル・マレス(メキシコ)がいる。フェザー級は、11月に17度目の防衛に成功したクリス・ジョン(インドネシア)がWBAスーパー王者で君臨。WBAの正規王者は8日に奪取したばかりのニコラス・ウォータース(ジャマイカ)、WBCはダニエル・ポンセ・デレオン(メキシコ)が控える。

続きを表示

この記事のフォト

2012年12月23日のニュース