スミスマシンのメリットと使い方、おすすめトレーニングメニュー。筋トレ初心者にこそ効果的!

[ 2024年5月21日 09:00 ]

スポーツジムのフリーウエイトエリアに置いてあることが多い「スミスマシン」。筋トレ初心者には馴染みがなく、使ったことがないという人も多いのではないでしょうか。

スミスマシンは、初心者でも効果的に扱えるマシーンです。スクワットやデッドリフト、ベンチプレスといったBIG3をしっかり鍛えるにはうってつけでしょう。

今回はスミスマシンについて、使い方とオススメのトレーニングメニューを紹介します。

スミスマシンとは

スミスマシンは、バーベルがレールに固定されており、このレールに沿ってバーを上下に動かすことができるトレーニングマシンです。

フリーウエイト(ダンベルやバーベルを使用した筋トレ)とマシントレーニングの中間のような存在です。

正しいフォームと動作をサポート

スミスマシンの軌道が動きをサポートしてくれるため、フリーウエイトだとフォームや動作が崩れやすい種目を、正しく行うことができます。

立ち、座り、寝そべりなど多様な種目に対応

立った姿勢はもちろん、ベンチと一緒に使うことで、座った姿勢や寝た姿勢でもトレーニングが可能。そのため、幅広いエクササイズを行うことができます。

筋トレ初心者こそスミスマシンを使うべき理由

実は安全性が高い

初心者からは「使用方法が難しそう」と敬遠されがちですが、むしろ初心者にこそ積極的に活用していただきたいマシンのひとつです。

その最大の理由は安全性。スミスマシンはマシンと同じように動く軌道が限定されているため、安全にトレーニングを行うことができるのです。

動作中に不意にバランスを崩したとしても、フリーウエイトのように大きく体勢を崩しケガをしてしまうといった危険性は低いでしょう。

また、ウエイトを持ち上げきれずに潰れてしまっても、セーフティーバーによって途中でバーが止まるため安心です。

トレーニング初心者の場合、フリーウエイトの動作やフォームを安全に習得するためにも活用できます。

さまざまな使い方ができる

ウエイトマシンとは異なり、一台でさまざまな部位のトレーニングを行うことができます。

スポーツジムによってはマシンの台数が少なく、順番待ちが発生したり、自分が鍛えたい部分のマシンが置かれていない場合も多いでしょう。

そんなときは、スミスマシンを活用してみてください。1台あれば、全身を鍛えることが可能です。

ベンチの角度や体の姿勢によって調整もできるため、トレーニング上級者にとっても便利なマシンといえます。

筋トレの追い込みに活用できる

軌道が決まっているため、マシントレーニングのように目的とした筋肉への刺激が他部位に逃げづらく、ターゲットとした筋肉をしっかり刺激できます。

また、セーフティーバーを活用することで、1人でも安全に限界まで追い込むことが可能です。トレーニング上級者には、スミスマシンをフリーウエイト後の追い込みに活用している人も少なくありません。

スミスマシンを使ったオススメトレーニング6選

ここからは、スミスマシンを使ったオススメのエクササイズを紹介します。普段のトレーニングに、ぜひ取り入れてみてください。

大胸筋に効く、スミスマシンベンチプレス

スミスマシンベンチプレスは、フリーウエイトで行うベンチプレスよりも動作の軌道が安定するため、大胸筋に集中して刺激を入れやすくなります。

1人でも安全に重い重量を扱うことができるので、限界まで追い込むことが可能です。

●スミスマシンベンチプレスのやり方

スミスマシンの設定

  • ベンチをスミスマシンの中心に置き、フラット(平ら)にします
  • バーベルの高さを胸の上部に合わせて、ラックから取り外しやすい位置にセットします

スミスマシンベンチプレスのフォーム

  • ベンチに仰向けになり、足を床にしっかりとつけます
  • バーベルを、手の甲が顔側になるよう、肩幅より少し広めに握ります
  • 肩甲骨を軽く寄せ、胸を張ります

スミスマシンベンチプレスの動作

  1. バーベルを胸の中心に向かって、肘が90度になるくらいまでゆっくりと下ろします
  2. 胸に触れるか触れないかの位置で止め、反動を使わずにバーベルを持ち上げます
  3. 肘を固めすぎないように注意しながら、元の位置までバーベルを押し上げます

●ベンチの角度を変えて行うと別の部位を刺激できる

ベンチに座り、フリーウエイトでは行いにくい“インクラインベンチプレス”や“デクラインベンチプレス”もオススメ。

これらの種目は疲れてくるとバーの軌道が変わりやすく、ケガのリスクが高まってしまいますが、スミスマシンで行えば、常に一定の軌道を保つことができて安全です。

筋トレ「ベンチプレス」の効果を引き出す正しいフォーム・やり方・重量・回数

広背筋に効く、スミスマシンベントオーバーロー

ベントオーバーロウの難しさは、正しい姿勢を保つことです。バーの軌道が決まっているスミスマシンで行えば、フォームが安定して動作に集中することができます。

●スミスマシンベントオーバーローのやり方

スミスマシンの設定

  • バーを床から少し上の位置(膝下あたり)にセットします。バーを握ったときに腰を軽く曲げた姿勢になる高さが目安です
  • ウェイトプレートを両端に均等にセットします。初めて行う場合は軽めの重量から始めましょう

スミスマシンベントオーバーローのフォーム

  • 腰を軽く曲げ、背中をまっすぐ保ちながら、足は肩幅程度に開いて立ちます
  • バーを肩幅より少し広めに握り、肩甲骨を寄せて胸を張ります

スミスマシンベントオーバーローの動作

  1. バーを床から持ち上げます
  2. バーをお腹に向かって引き、肩甲骨を寄せて背中の筋肉を収縮させましょう
  3. バーをゆっくり元の位置に戻します

僧帽筋に効く、スミスマシンシュラッグ

シュラッグも、軌道が決まっているスミスマシンで行うことで無駄なブレを少なくし、安定した動作で行うことができます。

途中で握力がなくなりバーを落としそうになっても、すぐにフックに引っ掛けてバーを置けるため安全です。

●スミスマシンシュラッグのやり方

スミスマシンの設定

  • バーを太ももの中央あたりの高さにセットします。立った状態で握りやすい位置が目安です

スミスマシンシュラッグのフォーム

  • 背筋を伸ばし、肩幅程度に足を開いて立ちます
  • バーを肩幅より少し広めに握ります
  • 肩を上にすくめるようにして肩甲骨を引き上げます。首はすくめないように注意!

スミスマシンシュラッグの動作

  1. 肩甲骨を寄せながら肩をすくめ、バーを持ち上げます
  2. トップで一瞬キープし、ゆっくりと元の位置に戻します

三角筋に効く、スミスマシンショルダープレス

ショルダープレスは、立った姿勢でも座った姿勢でもカラダを安定させて動作を行うことができます。

  • 立った姿勢で行う…反動が使いやすいため高重量を扱うことができる
  • 座った姿勢で行う…反動を使わずしっかり三角筋を追い込める

フリーウエイトのバーベルショルダープレスのように、最初にバーを肩から頭上に持ち上げる動作が必要ありません。

そのため高重量を扱えるうえ、関節にとっても安全です。

●スミスマシンショルダープレスのやり方

スミスマシンの設定

  • 足を肩幅に広げて立ちます。座って行う場合、ベンチをスミスマシンの中心に置きます
  • バーを肩の高さに合わせて、ラックから取り外しやすい位置に設置します

スミスマシンショルダープレスのフォーム

  • 背筋を伸ばし、足をしっかりと床につけます
  • バーを肩幅より少し広めに握り、肘を軽く曲げた状態にします

スミスマシンショルダープレスの動作

  1. バーを掴み、ゆっくりと肘が90度になるまで下ろしていきます
  2. 再び、ゆっくりとバーを頭上へ戻します

大腿四頭筋に効く、スミスマシンスクワット

フリーウエイトの中でも、姿勢を保持するのが難しいスクワット。スミスマシンで行えば姿勢が崩れにくく、安全に高重量でトレーニングすることができます。

ただしスミスマシンでスクワットを行うと、少しの姿勢の違いで効く部分が変わってしまうことがあるでしょう。そのため、正しいフォームかどうかチェックしながら行うことが重要です。

●スミスマシンスクワットのやり方

スミスマシンの設定

  • バーを肩の高さにセットします

スミスマシンスクワットのフォーム

  • バーを肩の上に置き、肩幅より少し広めに握ります
  • 足を肩幅程度に開き、つま先をやや外側に向けます

スミスマシンスクワットの動作

  1. 胸を張り、背筋をまっすぐに保ちながら、膝と股関節を同時に曲げてゆっくりとしゃがみます
  2. 太ももが床と平行になるか、ややそれより下の位置までしゃがんだら、膝と股関節を伸ばしながら、元の立ち位置に戻ります

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下腿三頭筋に効く、スミスマシンカーフレイズ

加重して行いにくいカーフレイズも、スミスマシンなら、簡単に高負荷で動作を行うことができます。バーが固定されているため、動作中にバランスを崩す心配もありません。

●スミスマシンカーフレイズのやり方

スミスマシンの設定

  • バーを肩の高さに設定します

スミスマシンカーフレイズのフォーム

  • バーを肩幅より少し広めに握り、肩の上に置きます

スミスマシンカーフレイズの動作

  • 踵を床から持ち上げて、ゆっくりとつま先立ちの姿勢になります。足首が外側や内側に傾かないように注意しましょう
  • つま先を床に戻し、ゆっくりとかかとを下ろします。このとき、膝を完全に伸ばします

スミスマシンは安全で効果的に筋肉を追い込むことができる

スミスマシンは、筋肉を追い込むうえで、安全かつ効果的なエクササイズマシンです。ダンベルなどと併用すれば、コンパウンドセットやスーパーセットなども行えます。

初心者はもちろん、普段スミスマシンをあまり使わない上級者も、積極的に活用したエクササイズに取り組んでみてください。

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。​医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。運営協力メディア「#トレラブ(https://tr-lv.com/)」などで多くの執筆・監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信している。日本トレーニング指導者協会 JATI-ATI
公式HP/公式Facebook

<Text:和田拓巳/Photo:編集部撮影>

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