渡辺が2大会ぶり五輪切符 お家芸でレース直前に異例の光景「全員のベストパフォーマンスを願った」

[ 2024年3月21日 22:00 ]

競泳国際大会代表選考会第5日 ( 2024年3月21日    東京アクアティクスセンター )

<競泳パリ五輪代表選考会第5日目>男子200メートル平泳ぎ決勝、五輪出場を決め笑顔の花車(左)と渡辺(撮影・西尾 大助)
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 男子200メートル平泳ぎ決勝は元世界記録保持者の渡辺一平(27=トヨタ自動車)が自己ベストに0秒27に迫る2分6秒94で制して、2位の花車優(24=イトマン東京)とともにパリ五輪代表に内定した。

 パリ切符を懸けたプールへの入場直前。渡辺は、22年世界選手権銀メダルの花車、日本記録保持者の佐藤、急成長中の深沢らと次々とハイタッチを交わした。ライバルは同じ目標を目指してきた仲間でもある。一発勝負のレース前としては異例の光景を「周り選手の不調を願うのではなく、全員のべストパフォーマンスを願ってあの形になった」と振り返った。

 スタート直後からトップに立ち、一度も先頭を譲らなかった。自己ベストに0秒27に迫る好タイム。2大会ぶりの五輪切符を手にし「8年ぶりに代表権を獲得できてうれしい」としつつ「正直、もっとタイムが出ると思った。悔しい部分もある」と第一人者のプライドをにじませた。

 3年前の代表選考会は本来の力を発揮できず、東京五輪代表から落選。その後は左膝の負傷もあり不振に陥った。一時は引退も頭をよぎったが、21年から師事する高城直基コーチに出会い、泳ぐ楽しさを思い出した。低酸素のプールで徹底的に泳ぎ込み、より効率的なフォームを模索。昨夏の世界選手権で代表入りするなど復活の階段を上ってきた。

 男子200メートル平泳ぎは日本のお家芸と言われたが、12年ロンドン五輪を最後にメダルから遠ざかる。渡辺は16年リオデジャネイロ五輪で準決勝を全体1位通過したが、決勝は6位に沈んだ。「お家芸を復活させたい。僕は金メダルを狙い、花車選手とのダブル表彰台も目指したい」。覃海洋(中国)の持つ2分5秒48の世界記録更新も視野に入れ、本気で金メダルを目指す。

 【日本のお家芸】男子200メートル平泳ぎは1928年アムステルダム五輪で鶴田義行が金メダルに輝いたのを皮切りに、競泳種目で最多となる12個のメダルを獲得。北島康介が04年アテネ五輪、08年北京五輪を連覇するなど半数の6個を金が占める。12年ロンドン五輪の立石諒の銅を最後に表彰台から遠ざかり、近年は低迷。16年リオデジャネイロ五輪は小関也朱篤の5位、21年東京五輪は武良竜也の7位が日本勢の最高成績だった。

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