車いすテニス・小田凱人「来年は全仏以上の興奮与える」 今年は史上最年少グランドスラム

[ 2023年12月12日 05:00 ]

ミス日本グランプリの吉岡さん(左)、ミス日本「水の天使」の竹田さん(右)と写真に納まる栗山氏(中央左)と小田(撮影・木村 揚輔) 
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 スポーツニッポンフォーラム制定「FOR ALL 2023」の表彰式が11日、東京都文京区の東京ドームホテルで開催された。グランプリには3月のWBCで侍ジャパン監督として14年ぶりの世界一に導いた栗山英樹氏(62)、特別賞にはプロ車いすテニス選手で、6月の全仏オープン男子シングルス優勝の小田凱人(ときと、17=東海理化)が選出された。

 史上最年少での4大大会制覇も通過点に過ぎない。ワインレッドのダブルのスーツで決めた小田は壇上での受賞スピーチで「来年はビッグイベントのパリ・パラリンピックが待っている。全仏オープン以上の興奮を与えて、もっと大きな一年になるように頑張りたい」と力を込めた。

 飛躍の一年だった。6月の全仏オープン男子シングルスで優勝。17歳33日での4大大会制覇は史上最年少記録となった。最年少で世界ランキング1位の座も射止め、7月のウィンブルドン選手権も制覇。「最年少グランドスラム優勝は去年からずっと目指してきた。多くの方々に名前を知ってもらい、パラスポーツを知ってもらうきっかけになる一年でした」とうなずいた。

 世界ランキング100位台だった中学生時代から「世界1位になりきって、世界1位ならこうするだろう」と振る舞ってきた。水分は水と果汁100%しか摂取しないなど世界1位から逆算した行動を徹底。22年4月に車いすテニス国内最年少の15歳11カ月20日でプロ転向後は練習量を倍増し、トレーナーと体のバランスを整え、瞬発力を上げるパワートレーニングを重ねた。

 24年は年間ゴールデンスラムも期待される。同一年に五輪かパラと、全ての4大大会を制する偉業で、過去に88年のグラフ(ドイツ)、車いすで21年のデフロート(オランダ)の女子2人しか達成していない。「ただ優勝する、ただ金メダルを獲るだけではなく、自分のやり方でいろんな常識をぶち壊していきたい」。パラリンピックの舞台は名前の由来にもなった凱旋門のあるパリ。今季にも増してワクワクする一年が待っている。

 ◇小田 凱人(おだ・ときと)2006年(平18)5月8日生まれ、愛知県一宮市出身の17歳。9歳の時に左股関節に骨肉腫が見つかり、サッカーから車いすテニスに転向。20年に18歳以下の世界一決定戦「世界ジュニアマスターズ」に14歳で出場してシングルスとダブルスで優勝した。22年4月28日に車いすテニス国内最年少の15歳11カ月20日でプロ転向。4大大会デビューとなった22年6月の全仏オープンで4強入り。23年は全仏とウィンブルドン選手権を制した。身長1メートル75。

 ≪文科省・藤原事務次官「希望与えた」≫文部科学省・藤原章夫事務次官が表彰式の冒頭で来賓あいさつ。受賞した両者に向け「国際舞台で活躍し、多くの希望を与えてくれた」と敬意を表した。来年以降もパリ五輪・パラリンピックなどビッグイベントがあることに触れ「文科省として最大限の支援に努め、スポーツ立国の実現に向けて努力を続ける」と結んだ。

 ◇スポーツニッポンフォーラム 「スポーツで日本を元気にしよう」というコンセプトで開催しているフォーラム。開催は年4~5回で、そのうちの1回は表彰制度「FOR ALL」を設けている。表彰者は選考委員会を経て決定。(1)スポーツを通じて日本を元気づける顕著な働きをした個人または団体。(2)社会貢献ならびに地域振興に寄与した個人または団体にグランプリ、特別賞などが贈られる。

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