元日本代表の福沢達哉氏 日本男子バレー巻き返しへキーマンは高橋藍 万全ではない石川のカバーを

[ 2023年10月3日 04:41 ]

エジプト戦後、コートに残り話し合いをする高橋藍(左)と石川
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 バレーボールのパリ五輪予選男子東京大会兼W杯で、4大会ぶりとなる自力での五輪出場を目指す日本は3日にチュニジア、4日にトルコと対戦する。2試合を終え1勝1敗の勝ち点3で4位。上位2チームに与えられる五輪切符獲得へ負けられない状況に追い込まれた。元日本代表でパナソニックパンサーズ・アンバサダーの福沢達哉氏(37)が龍神NIPPONの現状を分析し、巻き返しの鍵を探る。

 フィンランド戦もエジプト戦も不本意な結果になったが、チーム全体の調子が悪いわけではない。西田はサーブ、スパイクで得点力を発揮し、高橋藍はコンスタントに高いパフォーマンスを見せた。石川もコンディションが万全でない中、要所で彼らしいプレーをした。ミドル陣はサーブが機能し、エジプト戦は良いブロックも出ていた。序盤でリードすれば余裕が生まれ、面白いようにパフォーマンスが上がる。2試合とも第1、第2セットはそういう展開だった。

 ではなぜ失速したのか。メンタルによる部分が大きいと感じた。フィンランドもエジプトも今大会での五輪出場権獲得は厳しいとみて、目の前の勝利を目標にノンプレッシャーで戦っている。その中で2セットを失い第3セットは開き直った。サーブのスピードが上がり、攻め方も大胆になった。そういう相手に対し日本は受けに回り、パワーで対抗しようとした。

 相手をいなし、つないで、ラリーに持ち込む戦い方が日本の生命線。五輪予選の重圧の中、攻め急ぎ歯車を狂わせた。相手の良さを受け入れ、そのリズムをどう崩すのかというマインドへの切り替えが必要だった。そうしたメンタルマネジメントが今後の鍵になる。

 今の日本は石川一人に頼るチームではないが、彼が精神的支柱であることは間違いない。苦しい時にアクション、声掛けでチームを鼓舞し、メンタルをコントロールする役割を果たしてきた。石川個人のパフォーマンスが上がってこない中で、誰がカバーするのか。

 キーマンは高橋藍だ。彼自身も引っ張る自覚を持っている。チームに対してどうアクションを取るのか。精神的な部分を含め“化けるか”に注目したい。

 チュニジアはエジプトと似てフィジカルで勝負する。器用さはないが、パワーで打ち込んでくる。トルコはイタリアで活躍するオポジットのA・ラグンジアを擁する怖いチーム。チームとしてはブロックがいいので、その対応が攻略ポイントになる。チュニジア、トルコには勝つことが大前提。その上で日本の勝ち方を改めて意識できればいい。(元日本代表)

 ◇福沢 達哉(ふくざわ・たつや)1986年(昭61)7月1日生まれ、京都府出身の37歳。洛南、中大を経てパナソニック入り。ブラジル、フランスでもプレー。中大1年時の05年日本代表に初選出。08年北京五輪出場。21年8月現役引退。

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