米ツアーで2勝を挙げた畑岡奈紗が振り返る2021年「悔しい気持ちの方が大きい」

[ 2021年12月31日 13:45 ]

畑岡奈紗(AP)
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 【福永稔彦のアンプレアブル】女子ゴルフの畑岡奈紗(22=アビームコンサルティング)にとって、2021年はどんな1年だったのだろうか。

 米ツアー5年目となる今季はなかなか調子が上がらず、序盤戦で2試合連続予選落ちを喫するなど苦戦した。

 それでも、7月のマラソン・クラシック、9月のアーカンソー選手権を制し、年間2勝を挙げた。賞金ランクは自己最高の3位。最終戦の結果次第で1987年の岡本綾子以来の日本人賞金女王になる可能性もあった。

 米ツアー通算5勝は小林浩美の4勝を上回り、日本勢では岡本綾子(17勝)、宮里藍(9勝)に次ぐ歴代単独3位となった。年末の世界ランクは6位。男女を通じて日本勢最高位にランクされた。

 これだけの戦歴を残しても本人は満足していない。今月22日にリモート取材に応じた畑岡は「1年を通して安定した成績を残せなかった。結果的に賞金ランク3位になったけど、どちらかと言うと、悔しい気持ちの方が大きい」と振り返った。

 2つの大きなタイトルを逃したことも不完全燃焼の思いを拭えない理由に入るのではないか。6月の全米女子オープンでは、プレーオフに進みながら日本勢対決で笹生優花に敗れ、メジャー初制覇を目前で逃した。日本のエースとして臨み、金メダルを目指していた8月の東京五輪は9位に終わった。

 「全米女子オープンは、その前まで自分の思うようなプレーができていなかったので、優勝争いできて自信になったけど、あそこまでいけたので、あと一歩という思いもある。東京五輪は自分の中のビッグイベントだった。ピークを合わせて金メダルを目標にしていたので、メダルに届かず悔しい思いもある」。淡々と口にした言葉に悔しさがにじんだ。

 シーズンを通してスイングの調整に苦慮していたことも明かした。「スイングがしっくり来たのは1、2試合しかない。トップのポジションがフラットになりすぎて、クラブが上から入って来なくて、ボールが左右に散らばり、パワーがうまくボールに伝わっている感じがなかった」。シーズン終盤にはヘッドスピードや飛距離も落ちていたという。

 来季に向けては「フェアウエーキープ率、パーオン率を75~80%にしたい」と課題を挙げる。今季はフェアウエーキープ率が74・86%、パーオン率が71・61%。ショットの精度を示す2つの数値を引き上げる。そのためにオフはスイングの修正と並行して、トレーニングをこなす。また「悩んでいる部分」と言うアプローチのブラッシュアップにも努める。

 その先に悲願達成を見据える。「来年(米ツアー)6年目になるけど、メジャー優勝ができていない。焦る訳ではないけど、メジャー優勝を一番の目標にしてやっていきたい」。

 2021年の畑岡を回想する時、筆者が最初に思い出す場面は決まっている。全米女子オープン最終日のプレーオフ。敗戦が決まると、笑みを浮かべ、優勝した笹生と抱擁をかわした。悔しい思いを胸にしまい込み勝者を称える姿に、心を打たれた。2022年こそ、メジャーの舞台で祝福される畑岡の姿を見てみたい。(スポーツ部専門委員)

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