奈紗 米初勝利の地で岡本綾子、宮里藍に次ぐ5勝目!失意の東京五輪から“リカバリー”1差逃げ切り

[ 2021年9月28日 05:30 ]

米女子ゴルフツアー アーカンソー選手権最終日 ( 2021年9月26日    アーカンソー州 ピナクルCC=6438ヤード、パー71 )

アーカンソー選手権で米ツアー通算5勝目を挙げ、トロフィーを手に笑顔の畑岡(AP)
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 首位タイから出た畑岡奈紗(22=アビームコンサルティング)が5バーディー、1ボギーの67で回り、通算16アンダーの1打差で競り勝ち、米ツアー通算5勝目を手にした。18年のこの大会から重ねる勝利数は日本女子歴代3位。7月のマラソン・クラシック以来の今季2勝目で、日米通算10勝目となった。9位から65と伸ばした笹生優花(20=ICTSI)は通算14アンダーで4位に入った。

 1打リードで迎えた最終18番グリーン。ボールを置く畑岡の手は震えた。イーグルパットは4メートルオーバーし、バーディーパットも1メートルオーバー。ウイニングパットを沈めても、うつむき加減で大きく息を吐いた。それだけ苦しい戦いだった。6打差の圧勝で米初勝利をつかんだ18年大会から3年、今度は強豪に競り勝ちつかみ取った5勝目。米では自身初の1打差での優勝だった。

 「ちょっと現実なのか、何なのか、よく分かんなくて。今までで一番緊張した最終ホール。それで勝てたのは大きな経験になる」

 最終日は、メジャーのエビアン選手権を7打差逆転で制したミンジ・リー(オーストラリア)と首位で並んでスタート。風の中、武器のショットが支えになった。出だし1、2番で1メートルにつけて単独首位に浮上。終盤はパットに苦しみ迫られたが、トップは譲らなかった。

 プロ転向前から金メダルを目標としていた東京五輪は9位に終わった。「自分のプレーができなくて。本当に悔しかった」。母の博美さんが「隠れて泣いていたと思う」というほど心は傷ついた。自らに「これは試練だ」と言い聞かせても苦しみは続く。五輪後1週間はクラブを握らず、失意の底から立ち直るのに「1カ月くらいかかった」という。

 「練習するしかない」とショットを立て直し、戻ってきた米ツアーで第一歩を踏み出した場所。ツアー史上4人目の2日連続ホールインワンを達成し、5勝目を挙げた。まさにパワースポットで「そうですね。いろいろ起こりすぎてビックリ」と笑った。

 この勝利で小林浩美を抜き、岡本綾子の17勝、宮里藍の9勝に次ぐ日本女子歴代3位となった。「10勝を目指して、ここからやっていけたら」。日本のエースは次なる勝利に視線を向けた。

 ≪賞金ランク2位浮上≫畑岡の今季獲得賞金は140万3159ドル(約1億5540万円)となり、シーズン最終盤を前にランキング2位に浮上した。1位は今季3勝のネリー・コルダ(米国)で、約54万ドルの差がある。全米女子オープン制覇で一気に100万ドルを稼いだ笹生は131万6731ドルで4位につける。一方、最優秀選手のポイントレースで畑岡は86点の6位。トップのN・コルダは161点と大差がある。シーズン平均ストロークも1位は69・020のN・コルダで、前半戦で不振だった畑岡は70・857の34位にとどまっている。

 ▽畑岡の18年アーカンソー選手権での米ツアー初優勝(18年6月) 最終日にミンジ・リー(オーストラリア)と並んで首位タイから出ると8バーディーの63をマークし、大会記録となる通算21アンダーで初優勝を果たした。2位に6打差をつける圧勝だった。12年に22歳で勝った宮里美香を抜く、19歳での日本勢最年少記録となった。

 ◇畑岡 奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日生まれ、茨城県笠間市出身の22歳。母・博美さんの影響で11歳でゴルフを始める。17歳だった16年に日本女子オープンで史上最年少優勝を果たし、同年にプロ転向。17年から米ツアーに本格参戦し、翌18年のアーカンソー選手権で米ツアー初優勝。日米通算10勝。名前は米航空宇宙局(NASA)に由来。家族は両親と妹で、愛犬・トイプードルのアポロとステラが癒やし。1メートル58。

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2021年9月28日のニュース