沙羅なる高みへ!今季初Vで決めた女子初100度目表彰台「自分のジャンプを探していきたい」

[ 2020年3月11日 05:30 ]

ノルディックスキー W杯ジャンプ ( 2020年3月9日    ノルウェー・リレハンメル )

今季初優勝を飾り笑顔の高梨
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 女子の個人第15戦(ヒルサイズ=HS140メートル)で高梨沙羅(23=クラレ)が今季初優勝し、W杯の表彰台はジャンプ女子初の通算100度となった。歴代最多の優勝回数は57に伸ばした。1回目に120・5メートルでトップに立つと、2回目も127・5メートルで合計296・9点として逃げ切った。男子の個人第26戦(HS140メートル)で小林陵侑(23=土屋ホーム)は135・5メートル、120メートルの270・4点で9位だった。

 はじけるような笑みだった。通算100度目の表彰台を今季初優勝で飾った高梨は「言葉が出ない。まさか勝てると思わなかった。自分のやってきたことが間違いじゃなかった」とかみしめるように言った。表彰台の真ん中で右手を思い切り掲げる。体いっぱいを使い喜びを表現した。

 複数の転倒者が出るなど強い風が吹き荒れた。公式記録上、1回目は加点が30点以上つく不利な追い風。横風もまじる難条件だったが、鋭い飛躍を見せる。首位で迎えた2回目は「結果を求めても結果を出せないのは知っている。やるべきことに集中し、後から(結果は)ついてくる」と泰然としていた。踏み切りのタイミングは外さずに逃げ切った。

 15歳だった12年1月に2位で初めて表彰台に立った。続く12~13年からの5シーズンは計4度の個人総合優勝と圧倒的な強さだったが、近年は海外勢の台頭もあって昨季は1勝。今季も勝利から遠ざかっていた高梨は「自分の中のしこりを一つ、超えられた」と安どの表情を浮かべた。

 「地道に続けてきたことが間違いじゃなかった。回ってきたチャンスをものにできた」と振り返った。理想のフォームを練り上げる過程で、完成度は「半分くらい」という。この日は、重点を置いている助走路終盤から踏み切りまでの動作が2回ともうまくはまり、好飛躍につなげた。

 ヘルツル(オーストリア)、ルンビ(ノルウェー)ら力強い飛躍を繰り出す海外勢に押され「今季は“勝てないかもしれない”とも思えなかった」と高梨。課題が多い現状では勝利を意識できる段階にさえなかった。1年1カ月ぶりに味わう57勝目の歓喜は一瞬だ。「トップレベルで戦う力はまだない。これからも自分のジャンプを探していきたい」と勝利の味が、新たな意欲を湧き上がらせた。

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