羽生、満足なきSP首位発進 今季初戦で冒頭転倒 令和新伝説へ“宿題”

[ 2019年9月15日 02:30 ]

フィギュアスケート オータム・クラシック第2日 ( 2019年9月13日    カナダ・オークビル )

新しい衣装を着て滑る羽生(撮影・小海途 良幹)
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 男子ショートプログラム(SP)が行われ、14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(24=ANA)が98・38点をマークし、首位発進した。今年3月の世界選手権でミスが出た冒頭の4回転サルコーで転倒するなど課題も出たが、2年連続の演目「秋によせて」の完全マスターへ意欲をみなぎらせた。SP同様に昨季と同じ「Origin」で挑むフリーは日本時間15日に行われる。 

 半年ぶりに実戦のリンクで舞った羽生は、不思議な感情を抱いていた。「いいかげん、ショートで失敗するのやめなよ!って思ってるんですけど。スケートって奥深いな」。シニア10年目となった今でも、勝負の銀盤は新たな宿題を与えていた。

 今季初戦のSP。完成形を目指す「秋によせて」で再スタートを切った。胸元が閉まり、光沢感が増した新衣装で登場。冒頭の4回転サルコーで転倒したが、「100%に近い出来」というトリプルアクセル(3回転半)、4回転―3回転の連続トーループを完璧に決め、立て直した。トーループではGOE(出来栄え評価)でプラス3・99点が付き、演技構成点5項目は全て9点台。それでも「まずはノーミスしたかった」と悔しさをにじませた。

 銀メダルだった3月の世界選手権。冒頭の4回転サルコーが2回転となり、スタートダッシュができなかった。「世界選手権の失敗を引きずっている。考え過ぎた」。残像が、脳裏にまとわりついていた。「理論で固めちゃうタイプ」と自らを形容し「(サルコーは)もっと感覚的に跳べていたジャンプだったからこそ、今回は理論に引っ張られ過ぎた」と分析した。逆に、感覚のよくないトーループの場合は理論武装して修正した、とも明かす。理詰めの羽生。本能をむき出しにする羽生。その2つの黄金比を探している。

 五輪連覇の男は自らに重圧をかけ、いつも限界を超えてきた。「秋によせて」で乗り越える壁は、昨年11月のGPロシア杯で自らがマークしたSP世界最高得点110・53点だ。「ロシア杯の時のSPもいいな、と思っているんですけど。あれでも完璧じゃない」。反転攻勢をかけるシーズン。「ここで完成させんなよって、言われたような感じがする」。羽生の長く、険しい旅が再び始まった。

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2019年9月15日のニュース