楢崎智、ボルダリング男子金!圧倒的強さで五輪切符弾み

[ 2019年8月14日 05:30 ]

スポーツクライミング 世界選手権第3日 ( 2019年8月13日    エスフォルタアリーナ八王子 )

男子ボルダリング決勝、第3課題を完登しガッツポーズをする楢崎智亜(撮影・小海途 良幹)
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 ボルダリング男子の楢崎智亜(23=TEAM au)が、2大会ぶり2度目の世界一に輝いた。全4課題を行う決勝で、第3課題終了時点で金メダルを決める圧倒的なパフォーマンスを披露。藤井快(26=同)が4位、土肥圭太(18=鹿児島県連盟)は5位だった。女子は野口啓代(30=TEAM au)が2大会連続の銀メダルを獲得した。

 ボルダリング界のキングは誰か。圧倒的なパフォーマンスと大歓声が、答えを雄弁に物語っていた。楢崎智が第3課題終了時点で2大会ぶり2度目の世界一を確定。18年世界選手権は準決勝で敗退しただけに、「昨年の世界選手権で優勝を狙っていたのに、いい結果が残せなかった。自国開催の世界選手権で勝ててうれしい。ボルダリングで絶対に負けたくない気持ちが強かった」と胸を張った。

 高難度の設定で、23歳の強さが際立った。跳び移る動きが要求される第1課題をただ1人クリアすると、完登すれば金メダルの第3課題も楢崎智だけが突破。優勝を決めるホールドをつかむと、右拳を握りしめた。最終第4課題を登れずに最高の締めくくりはできなかったが、疲弊した体を充実感が包んだ

 予選の前日(11日)は不安に襲われ眠れなかったが、本番ではメンタルはブレない。オフは自己啓発本などの読書に時間を割き、たどり着いたのはシンプルな思考。「他人に勝つんじゃなくて、自分のベストを出す。コントロールできないものに人はストレスを感じるので」。ライバルを意識の外に追いやり、対峙(たいじ)した壁をねじ伏せた。

 ボルダリング、リード、スピードの複合で実施される20年東京五輪の出場権は、今大会の複合で7位以内かつ日本人最上位で得られる。得意なボルダリングで世界一を奪回し、複合予選(19日)と決勝(21日)に弾みをつけた。「今回は複合がメインなので、そこまで喜べない」。14日にはリードの予選に出場。楢崎智の黄金の夏は、まだまだ終わらない。 

 ▽ボルダリング 高さ5メートル以下の壁に設定された複数の課題を制限時間内に完登した数で争う。準決勝には20人、決勝には6人が進出。決勝は1課題の制限時間4分で計4課題をこなす。完登数が同じ場合は課題途中のゾーンを獲得数で順位を決める。2つとも並んだ場合は、完登に要したトライ数が少ない方、次にゾーン獲得に要したトライ数の少ない方が上位となる。

 ◆楢崎 智亜(ならさき・ともあ)1996年(平8)6月22日生まれ、栃木県出身の23歳。小学5年でクライミングを始め、幼少時に体操で培った身体能力を武器に、ボルダリングで16年世界選手権金メダル、16、19年はW杯年間王者に輝く。1メートル70、60キロ。

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