貴ノ岩が暴行…日馬事件から1年 被害者一転加害者に

[ 2018年12月6日 05:30 ]

貴ノ岩が暴行をはたらいた貴大将。マスクをして冬巡業が行われている福岡から帰京(撮影・大塚 徹)
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 大相撲の東前頭6枚目・貴ノ岩(28=千賀ノ浦部屋)が4日夜に巡業先の福岡県行橋市内の宿舎で付け人の三段目・貴大将(23)に暴行をはたらいたことが5日、分かった。貴ノ岩は日本相撲協会の聴取に対し、暴行の事実を認めた。被害者だった昨秋の元横綱・日馬富士による暴行事件を受け、同協会が暴力根絶へ動く最中に今度は自ら加害者となり、窮地に追い込まれた。

 2018年の年の瀬、再び角界に衝撃が走った。貴ノ岩の暴行は4日夜、弟弟子の貴大将が「忘れ物の言い訳をしたから」との理由によるもの。スポニチ本紙の取材によると、宿泊先ホテルの部屋で、座った相手の顔面を素手で4、5発殴った。5日朝、貴大将は巡業会場の支度部屋に荷物を置いて逃げ去ったが、心配する仲間の連絡で翻意。戻ると騒動となっており、春日野巡業部長(元関脇・栃乃和歌)らの事情聴取で問題が発覚した。

 貴大将はその後、病院で診察を受けたが、骨には異常がなかったという。貴ノ岩も事実を認め、貴大将とは別ルートで帰京した。午後2時に東京都台東区の千賀ノ浦部屋にタクシーで到着すると、待ち構える師匠の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)の車に乗り込み両国国技館へ直行。二所ノ関一門の理事でもある阿武松親方(元関脇・益荒雄)と日本相撲協会で鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)に事情を説明し、謝罪もしたという。

 午前中に貴ノ岩から報告を受けた師匠は「何してるんだ」と叱責(しっせき)したという。貴ノ岩と合流する直前には「暴力は駄目だって言っているんですけど。しょっちゅう言っているのですが…駄目ですね」と落胆した表情を見せた。来年1月の初場所出場は「難しいでしょう」とも話し、現役生活についても「まだ何とも言えない」と言葉を濁した。午後5時、同協会から部屋に戻った師匠は「残念でしかない」と憔悴(しょうすい)した様子だった。

 昨年10月末に発覚した元横綱・日馬富士による暴力事件の被害者が、貴ノ岩だった。2場所連続の休場から復活し、1年かけて土俵に集中できる環境が整いかけた矢先、自らが加害者となってしまった。貴ノ岩はスポニチ本紙の取材に対し「かっとなって殴ってしまった」と事実を認め、「自分がやられて悔しかったのに、自らが同じことをしてしまい、言葉がないです。応援してくれたファンや相撲協会を裏切るような形になった…」と消え入るような声で話した。暫定処置として、貴ノ岩はこのまま巡業を途中休場し、部屋で謹慎。今後は協会による調査を受け、理事会などで正式に処分が決まる見込み。現役生活が脅かされるような厳罰の可能性もあるが「協会の決定した処分には素直に従います」とした。

 ◆貴ノ岩 義司(たかのいわ・よしもり=本名アディヤ・バーサンドルジ)1990年2月26日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の28歳。東前頭6枚目、千賀ノ浦部屋。相撲留学した鳥取城北高から09年初場所初土俵。12年名古屋場所新十両。14年初場所新入幕。今年の秋場所後に師匠の貴乃花親方の日本相撲協会退職に伴い、千賀ノ浦部屋に転籍した。殊勲賞1回、敢闘賞1回。得意は右四つ、寄り、投げ。1メートル82、150キロ。

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