稀勢 流血気づかず必死寄り切り、29年ぶり3横綱4連勝発進

[ 2018年9月13日 05:30 ]

大相撲秋場所4日目   ○稀勢の里-魁聖● ( 2018年9月12日    両国国技館 )

稀勢の里(左)の顔に魁聖の頭が激突(撮影・西川祐介)
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 進退を懸けて土俵に上がっている横綱・稀勢の里が流血しながらも無傷の4連勝とした。平幕・魁聖に先に両まわしを許すなど苦しんだが、辛抱して有利な体勢に持ち込み、58秒8という長い相撲の末に寄り切った。白鵬は千代大龍を上手投げで下し、鶴竜は豊山を押し出しで退け、ともに全勝キープ。3横綱の初日からの4連勝は89年春場所以来、29年ぶりとなった。

 渾身(こんしん)の力で両まわしを引きつけ207キロの巨漢を寄り切った。そこでようやく、鼻血が出ていることを知った。1分近い相撲でも、取組中には流血に気づかなかった。それほど、稀勢の里は必死だった。支度部屋に戻って髪を直す間も険しい表情のまま。報道陣の輪が解けて、付け人と言葉を交わしたとき、少しだけ笑みがこぼれた。

 「まあ、しっかりやりました」と振り返った一番は、我慢を強いられた。けんか四つの相手に差し勝って左四つに組み止めながら、先に右上手を許した。それでも、巧みに上手を切って逆に右上手を引いた。横綱昇進後、200キロ超の相手は逸ノ城と対戦しただけだったが、2度とも敗れていた。1枚まわしを離さずに胸を合わせ、過去11戦負けなしだった相手に勝ちきった。

 不安がないわけではない。八角理事長(元横綱・北勝海)は「魁聖の攻めの遅さに救われた。馬力がないから苦戦する」と分析した。それでも、必死な相撲で勝ち続けていることには「今場所は内容うんぬんよりも結果。こういう相撲を取ると、場所が稽古というわけじゃないけど良くなってくる」と話した。

 苦しみながらも白星を挙げると、白鵬、鶴竜も続いた。昭和以降、3横綱の初日からの4連勝は10度目だが、平成では89年(平元)春場所で北勝海、千代の富士、大乃国が11連勝して以来、2度目。相次ぐ休場で横綱不在となった名古屋場所から一転、3横綱が踏ん張っている。

 他の横綱の話を振られると「一日一番、しっかり集中してやっていきたいと思う」と答えた。横綱在位10場所目。年上の先輩横綱より先に、土俵から去るわけにはいかない。

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