世界72位の夢物語 ジョコ撃破で4強入りの快挙

[ 2018年6月6日 07:39 ]

テニス全仏オープン第10日 男子シングルス準々決勝 ( 2018年6月5日    パリ・ローランギャロス )

全仏オープン男子シングルス準々決勝、ジョコビッチを下し、歓喜のチェッキナート(AP)
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 コート上でインタビュアーが歩み寄ってきた。「これは夢じゃないよ」。マルコ・チェッキナート(25=イタリア)はそれでも信じられない様子で「本当に?オレまだ寝てんじゃないのかな」と男泣きした。

 過去出場した4度の4大大会は全て1回戦敗退。昨年の全仏は予選で敗れて本戦出場すら叶わなかった。現在のランキングは72位。それが4大大会初勝利はおろか、3回戦、4回戦と上位シードを破り、ついには準々決勝で元世界1位のノバク・ジョコビッチ(31=セルビア)を破って4強入りまで果たした。

 片手バックハンドはジョコビッチのバックハンドと打ち合っても引けを取らず、ストレートへの展開力、巧みなドロップショットを繰り出す多彩さも兼ね備えている。2―5から追いついた第4セットは、タイブレークも13―11の激戦。4度目のマッチポイントでついにリターンエースを決めると「人生で最高の瞬間だった」とコートに大の字になった。

 イタリア男子にとっても全仏4強入りは40年ぶりの快挙でもある。チェッキナートは16年6月に下部大会での八百長疑惑でイタリア協会から18カ月の出場停止処分を受けた。その後、嫌疑が晴れて処分は撤回されたが、汚名をそそいであまりある快進撃となった。

 イタリア人らしく普段はサッカー好きでACミランのファン。セリエAだけでなく、スペインリーグやブンデスリーガまでチェックするほどだという。4月にはラッキールーザーからのツアー初優勝も飾っており、何かを持っている男なのは間違いない。「人生が変わったと思う」という劇的勝利で、夢物語はまだ続く。準決勝ではティエム(オーストリア)相手に再びの番狂わせに挑む。

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2018年6月6日のニュース