三宅 現役続行 東京五輪へ「完全燃焼しきれていない」

[ 2016年9月28日 05:30 ]

報告会であいさつするリオ五輪重量挙げ女子銅メダリストの三宅宏実

 重量挙げ女子48キロ級で12年ロンドン五輪銀メダル、16年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得した三宅宏実(30=いちご)が、現役続行を決断した。27日、都内にある母校の法大で報告会に出席し、20年東京五輪を最大目標に競技を続けることを表明。年内はリオ五輪前から痛めていた腰の治療に専念し、集大成のTOKYOへ着実に歩を進める。

 深刻な腰痛を乗り越え、リオで銅メダルを獲得したのは開会式翌日の8月6日だった。奇跡の表彰台から52日。三宅がスッキリした表情で明言した。「やめないです。続けることに決めました。続けても、いいですよね?」。現役続行か引退か。五輪後、アスリートは悩む。悩みの深さはキャリアの長さに比例する。11月18日で31歳になる三宅の背中を押したのは、4年後の夢舞台だった。

 20年、五輪は東京にやって来る。「東京じゃなかったらやめていた」。リオ後、「(東京に)挑戦したい気持ちはある」と話したが、一方で「4年は長い。何が起こるか分からない」とも繰り返していた。この日も、三宅は同じフレーズを口にした。いつもと違ったのは、その後に続く言葉。「一年一年が勝負になる」。アスリートとして戦い続けることを選んだ。

 リオ五輪前から痛めていた腰は、完治には程遠い。「今まで無理を重ねて、腰がミルフィーユ状に固まっている」と独特の表現で患部の状態を説明。第一線で体を酷使し続け、長年の疲労は幾層にも積み上がっている。試合はもちろん、練習再開の時期も未定で、年内は治療に専念。「しっかり治したい。自分の体の構造や使い方も勉強したい」と話した。

 年齢を重ねるごとに、五輪に出場するごとに、道が険しくなるのは実感している。「次の4年はもっとイバラの道になると思っている。心と体の変化も訪れる。絶対(東京五輪に出る)って約束はできない」。そして、こう続けた。「まだ完全燃焼しきれていない。一年一年、目の前の目標を達成した後に、東京五輪があればいいな」。競技人生の最終章となるTOKYOへ、三宅が歩き始めた。

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2016年9月28日のニュース