大人の沙羅、大逆転連勝 1回目7位から2回目最長不倒!

[ 2015年1月12日 05:30 ]

今季2勝目を飾り笑顔でファンの声援に応える高梨

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子個人第3戦

(1月11日 札幌市宮の森ジャンプ競技場)
 W杯総合3連覇を目指す高梨沙羅(18=クラレ)が1回目87メートルの7位から、2回目に最長不倒の97メートルを飛び、合計236・3点で鮮やかな逆転優勝。10日の第2戦に続く今季2勝目で通算26勝目を飾った。ソチ五輪金メダルのカリーナ・フォクト(22=ドイツ)が230・7点で2位だった。1回目に94・5メートルで3位につけた伊藤有希(20=土屋ホーム)は2回目に飛距離を伸ばせず、9位に終わった。17、18日は山形・蔵王でW杯女子2連戦が行われる。

 1回目を終え、雪が激しくなった。「このまま終わってほしくない…」。そんな高梨の願いは通じた。悪条件の2回目。会場の宮の森ジャンプ競技場では、今季最多となる4900人の大歓声を受け、97メートルまで飛距離を伸ばすとガッツポーズ。起死回生の大ジャンプを決め鮮やかな逆転Vを飾った。

 「まさか勝てるとは思っていなかったので本当に驚いている。2本目は自分でもどうしてあそこまで飛距離を伸ばせたのか分からない。応援してくれた方々の力です」

 1回目は不利な追い風を受けK点に3メートル届かなかった。これまでは不本意な結果を引きずりがちだったが、この日は違った。小川コーチも「考え方が大人になった。以前よりも切り替えがスムーズにできている」と精神面の成長に目を細めた。高梨の精神力にはフィギュアスケート元世界女王の安藤美姫も舌を巻いた。テレビのキャスターとして来場して対面したが、「精神的に強く自分と上手に向き合っている。年が違うのにしっかりしていますね」と驚きの表情を見せた。

 そんな高梨だが、苦しい現実に直面している。個人4連覇が懸かる世界ジュニア選手権(2月1日開幕、カザフスタン)を苦渋の決断で断念。当初は5日の個人戦のみに出場し、7日の団体戦を欠場して7、8日に行われるW杯(ルーマニア・ルシュノブ)に回ることを望んだ。だが、全日本スキー連盟は個人戦だけの出場は認めず、W杯だけを選択せざるを得なくなった。高梨は「(世界ジュニアとW杯)両方出たかったので準備していたが、連盟さんのほうでどちらか選ばないといけないと言われたので…」と悔しさをにじませた。

 それでもアスリートとしては前を向くしかない。地元・北海道で2連勝し、W杯個人総合で単独首位に立った。次は山形・蔵王へ。雪の女王は飛び続ける。

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