瀬戸 萩野逆転して金!「感じたことのない速さ」 照準はリオ

[ 2013年8月6日 06:00 ]

世界水泳の男子400メートル個人メドレーで優勝し、ガッツポーズする瀬戸大也

世界水泳最終日

(8月4日 バルセロナ)
 日本人選手として初めて男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した瀬戸大也(19=JSS毛呂山)が早くも16年のリオデジャネイロ五輪に照準を定めた。優勝タイムは自己ベストを1秒42更新する4分8秒69。5位に終わったライバルの萩野公介(18=東洋大)の前で急速な進化を見せつけた。男子400メートルメドレーリレーは銅メダルを獲得し、日本は金1、銀2、銅3のメダル総数は6。瀬戸は5日はテレビ出演するなど一気に脚光を浴びた。

 日本人初の快挙から一夜明けた瀬戸はライバル萩野とともにテレビ朝日の報道ステーションにバルセロナから生出演。世界選手権の金メダルをぶらさげた新星は「2人で切磋琢磨(せっさたくま)して3年後(リオデジャネイロ五輪)にデッドヒートして金メダル争いをしたい」と早くも新たな野望を口にした。

 新星が無限の可能性を示した。400メートル個人メドレーで五輪を含めても日本人初の金メダル。「今まで泳いできた中で一番短い4分間でした」と声を弾ませた。背泳ぎで体1つリードした萩野を得意の平泳ぎで猛追。250メートルのターンから一気に並び、最後の自由形で一度抜かれたもののラスト50メートルで突き放した。「いやー、もう本当に今まで感じたことのない速さで泳げて、凄く幸せです」と声を弾ませた。

 1メートル74と決して大きくない。厳しい練習と地道なトレーニングで驚異の成長を遂げた。昨年9月の国体で記録した自己ベストは4分10秒11。転機は早大進学だった。同大の奥野景介監督(47)は「後半はいつもばてていたが、スピードを持続できるようスタミナをつけさせた」と語る。

 毎日朝と夕に2時間半泳ぎ込み、練習メニューには「ショートレスト」を取り入れた。50メートル4本を3秒のインターバルを置いて4セット。通常、インターバルは5~10秒のところ、厳しい条件で持久力をつけた。さらに水の中だけでなくゴムチューブなどを使って体幹も鍛えた。昨年9月のタイムと比べると前半の苦手の背泳ぎで0秒88、後半に入ると得意の平泳ぎで0秒89とそれぞれ1秒近く縮めた。パワー、スタミナともレベルアップした証だった。

 もちろん、小学生時代からのライバルがいてこその快挙だ。昨夏のロンドン五輪で萩野が銅メダルを獲得。五輪出場を逃した瀬戸は練習に身が入らない時期があったが、これを見て再び走り出した。「(萩野)公介の存在は大きい。悔しいというか俺も絶対一発やってやろうという気持ちもあった。一番は公介に感謝したい」。

 瀬戸は表彰台に立ち、「メダル獲ってあの景色、凄い良かった。めっちゃ気持ち良かった」と笑顔を見せた。16年リオ五輪には「個人メドレー(200メートル、400メートル)と200メートルバタフライで出たい」と複数種目挑戦の青写真も描く。

 萩野とのデッドヒート。その先も、もちろん金メダルと決めている。

 ◆瀬戸 大也(せと・だいや)1994年(平6)5月24日、埼玉県生まれの19歳。JSS毛呂山―埼玉栄高―早大。昨年はロンドン五輪を逃したが、12月の世界短水路選手権の男子400メートル個人メドレーで金メダル、200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得。今年4月の日本選手権は200メートル、400メートル個人メドレーでともに2位。1メートル74、70キロ。血液型A。

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