蒼国来フラフラ…825日ぶり国技館で“厳しい現実”

[ 2013年4月28日 06:00 ]

ぶつかり稽古で白鵬(左)に転がされる蒼国来

 大相撲夏場所(5月12日初日、両国国技館)の横綱審議委員会による稽古総見が27日、東京・両国国技館で一般公開されて行われ、八百長裁判で勝訴し、角界復帰した幕内・蒼国来(29=荒汐部屋)が参加した。約5000人の拍手で迎えられた申し合いでは、新入幕力士に連勝するなど技術の高さを見せた一方で、白鵬とのぶつかり稽古ではスタミナ不足を露呈。本場所復帰となる7月の名古屋場所(7日初日、愛知県体育館)に向け、課題が浮き彫りとなった。

 2年前の初場所千秋楽以来、825日ぶりに上がる国技館の土俵で味わったのは、感無量の思いと厳しい現実だった。午前8時すぎ。関取の象徴である白まわし姿で現れた蒼国来は、無料開放で訪れた5073人の観客から祝福の拍手と「頑張れ」という声援を浴びた。「懐かしかったし、うれしかった」と感慨も深かったが、土俵に上がると「声援は緊張して聞こえなかった…」。約2年のブランクを実感せざるを得なかった。

 名古屋場所で復帰する地位は西幕内15枚目。当然、申し合いでも幕内の稽古に登場し、夏場所の新入幕3人と対戦した。誉富士には左差し、東龍には右差しから前に出て寄り切り、先輩幕内力士としての技術力の高さを披露した。しかし、幕内の世界は甘くない。大喜鵬には一気の馬力相撲で押し出され、その後、白鵬から指名されると歯が立たずに4戦全敗。ぶつかり稽古でも横綱から“祝福のかわいがり”を受けたが、約5分でフラフラとなった。土俵に膝をついてギブアップしたため、たまらず、北の湖理事長(元横綱)が制止させるように求める場面も。「横綱には失礼でしたが、まだぶつかれなかった…」。今月上旬に稽古を再開したばかりだけにスタミナ不足を痛感した。もともとレスリング経験者だったために、立ち合いの当たりにも難があった。師匠の荒汐親方(元小結・大豊)は「そんなに甘くない。幕内の相撲にはついていけない。(復帰の)名古屋場所までに十両の力に戻せれば」と指摘した。

 プロの土俵が厳しいことは蒼国来自身が一番感じている。「土俵でしか恩返しできない。もっと体をつくって精いっぱい自分が取れる相撲を取りたい」。人生、山あり谷あり。自らの心一つで体を鍛え直し、残された相撲人生を全うする。

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