一ノ瀬 涙の初優勝!「こんなにうれしいものだとは」

[ 2013年3月25日 06:00 ]

初勝利を挙げ仲間と抱き合い涙する一ノ瀬

女子ゴルフツアーTポイント・レディース最終日

(3月24日 鹿児島県姶良市・鹿児島高牧カントリークラブ=6346ヤード、パー72)
 プロ7年目の一ノ瀬優希(24=加賀電子)が涙の初優勝を飾った。首位から出ると、3バーディー、1ボギーの70で回り、通算14アンダー、202で逃げ切った。熊本出身者としては11人目となるツアー優勝。今季2勝目を狙った森田理香子(23=リコー)は68で回ったが、1打及ばず通算13アンダーの2位に終わった。
【最終R】

 深呼吸しアドレスに入った。手は震えている。それでも「まっすぐのライン。自分を信じて打った」。2メートルのパーパットを沈めた一ノ瀬は右手でガッツポーズをつくった。プロ7年目で手にした初優勝。「こんなにうれしいものだとは思わなかった」。服部、若林らプロ仲間から祝福されると自然と涙が流れた。

 3打差の単独首位で迎えた最終日。緊張から1番でボギーを叩いた。3番で1・5メートルのパーパットを沈め、5番で1打差で追う森田が先に8メートルのバーディーパットを決めた直後に4メートルを沈めバーディー。13番パー5でも、飛距離自慢の森田がバーディーを奪ったが、一ノ瀬も残り75ヤードの3打目をPSで“ベタピン”につけてバーディーを取り、この日は最後まで首位の座を譲らなかった。

 筋金入りの根性娘だ。中学1年でゴルフに打ち込むと決めると現在、シニアツアーにも出場する父・喜一郎氏(52)に「厳しくして」と直訴した。殴られたこともあるが、努力は怠らなかった。体力づくりも兼ねて中学時代は学校まで片道20分間かけて走って通学。御船高に入ると熊本市内の自宅から高校まで片道10キロを40分、自宅から練習場まで片道8キロを30分、自宅からコースまで17キロを60分、黄色い“ママチャリ”で往復した。雨の日も風の日も登校時はいつも汗をかいていた。

 プロに入ってもその姿勢は変わらない。仲の良い森田、服部、若林らが勝利を重ねると「早く追いつきたい。もっと厳しくやらなきゃ」と誓った。日本女子プロゴルフ協会の樋口久子前会長の助言もあり、オフの米国合宿では1日に「何千発も打ち込んだ」(喜一郎氏)。ライバルとの直接対決となったこの日、ついに猛練習が実った。

 初優勝で生涯獲得賞金は1億円を突破。優勝賞金の使い道を聞かれると「自転車がほしい」と笑わせた。さすがに今は車で移動するが、原点は忘れていない。不動、古閑、上田らを輩出した熊本出身の24歳。「今年は複数優勝が目標。全英にも出たいし早く次も勝ちたい」と走り続けることを誓った。

 ◆一ノ瀬優希(いちのせ・ゆうき)

 ★生まれとサイズ 1988年(昭63)10月5日、熊本市出身の24歳。1メートル58、54キロ。
 ★父子鷹 喜一郎氏は熊本市内の「浜線ゴルフセンター」でジュニアや一般ゴルファー相手にレッスン。昨年からシニアツアーにも出場。
 ★第11の女 熊本出身の女子プロでは不動、平瀬、上田、古閑の4人が賞金女王となり、過去10人が優勝。
 ★幸運のくま 開幕戦から熊本県のゆるキャラ「くまモン」のティーケースを使用。前夜まで九州名物の白くまアイスを食べると好スコア連発。
 ★レーシック 高1の時に角膜炎になり「失明するぎりぎり」の重症で眼鏡を使用。08年からコンタクトレンズを装用していたが、1月に視力矯正のレーシック手術を受けた。
 ★趣味 ケーキ作りが得意でチーズケーキをプロ仲間に振る舞うと大好評。

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