元蒼国来の「八百長解雇」は無効 相撲協会が敗訴

[ 2013年3月25日 16:11 ]

解雇無効の判決後、支援者と喜ぶ元幕内蒼国来の恩和図布新氏

 大相撲の八百長問題で日本相撲協会を解雇された元幕内蒼国来の恩和図布新氏(29)=中国出身=が、力士としての地位確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、問題とされた取組で八百長があったとは認めず、解雇は無効として力士の地位にあると確認し、解雇後の給与の支払いを命じた。

 協会の特別調査委員会は、対戦相手の元竹縄親方(元幕内春日錦)と仲介役とされた元幕下恵那司の供述に基づき、恩和図布新氏が2010年夏場所の春日錦戦で八百長をしたと認定。11年4月11日に引退を勧告し、引退届を提出しなかったとして同14日に解雇処分とした。

 古久保正人裁判長は、元春日錦の供述には多くの疑問点があり、元恵那司は恩和図布新氏と元春日錦を仲介した記憶がないと供述していると指摘。「過去に八百長に関与したことがうかがえるが、春日錦戦が八百長だったと認めるには十分でない」と判断した。

 また今回の処分の妥当性についても「八百長問題で個々の力士よりも大きな責任があると特別調査委から指摘されている協会が、引退勧告に応じないことが秩序を乱すとして最も重い解雇処分を選択するのは相当性に疑問がある」と批判した。

 協会の北の湖理事長は「控訴するかどうかは弁護士の意見を踏まえて判断する。判決を真摯(しんし)に受け止め、危機管理委員会を中心に原因を検証したい」とコメントした。

 同時に解雇された元十両星風のボルド・アマラメンデ氏(29)=モンゴル出身=については、一、二審で解雇を有効とする判決が出ており、上告中。

続きを表示

2013年3月25日のニュース