ウッズ 神業復活!全米興奮のチップインで帝王に並ぶ

[ 2012年6月5日 06:00 ]

ニクラウス(左)に並ぶ73勝目を挙げたウッズは笑顔で談笑

USPGAツアー メモリアル・トーナメント最終日

(6月3日 米オハイオ州ダブリン ミュアフィールドビレッジゴルフクラブ=7352ヤード、パー72)
 首位と4打差でスタートしたタイガー・ウッズ(36=米国)が通算9アンダーの279で逆転優勝。16番(パー3)で難度の高いアプローチショットをバーディーに結びつけてギャラリーを沸かせ、ジャック・ニクラウス(72=米国)と並ぶ歴代2位のツアー通算73勝目を挙げた。前日までの5位の石川遼(20=パナソニック)は3バーディー、4ボギーの73とスコアを伸ばせず通算2アンダーで9位。今田竜二(35)は80と崩れて62位に終わった。

 後続の組にいた首位サバティーニを1打差で追っていた16番。ウッズの8Iでの第1打はグリーン奥の深いラフに吸い込まれた。グリーンエッジまで5メートル。そこからピンまでの10メートルは傾斜のきつい下りのライン。強く打てば池に転がり、ショートすれば難解なロングパットが残るはずだった。しかし、ここで奇跡が起こった。ラフの奥深くを切り取って高く浮かせた第2打はグリーン上の絶妙のポイントに落下。フックしてスライスする細い“導線”をなぞるようにして、ボールはカップに姿を消した。

 A Full Flop(可能な限りドスンと高く上げる)と表現されたテクニック満載のショットによるチップインバーディー。「あんなふうに柔らかく打てたのは驚き。入るとも思わなかった」とウッズは何度もガッツポーズを見せた。大会ホストのニクラウスも「これまで見た中で最も信じ難い一打。オーバーかショートのどちらかなのに一点しかない場所に落としてきた」と自らの勝利数(73勝)に並んだ後輩を絶賛。ウッズも「ニクラウスの前で勝ち、目の前で彼の記録に並ぶことができて本当に特別な思いだ」と感慨深げに話した。

 「全てのクラブで高さ、方向ともに自分の思った通りに打てた」と胸を張ったように、ショットの精度は抜群だった。出場選手中1位だったパーオン率が示すように、ショットは2年半ぶりのツアー優勝を果たした3月のアーノルド・パーマー招待よりも改善されたと言い切る。世界ランキングも4位に浮上し、黄金時代の再来を予感させた。

 まさに21世紀のThe Shot。愛人問題と故障で一度は地獄に落ちたウッズが、全米を再び熱狂の渦に巻きこんでいる。

 ≪ウッズは17年で到達≫歴代1位の82勝を挙げたS・スニードが73勝を挙げるのにかかった期間は20年で、ニクラウスは25年。ウッズは17年で到達し、ニクラウスよりも10歳、スニードより7歳若い年齢での快挙達成となった。

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