内村 鉄棒でまさかの落下…日本男子 無念の銀

[ 2011年10月13日 06:00 ]

<世界体操 男子団体決勝>最後の演技の鉄棒を終えた内村は悔しそうな表情

体操世界選手権第6日

(10月12日 東京体育館)
 男子団体総合決勝で33年ぶりの金メダルを目指した日本は4種目を終えて首位に立ったが、5種目目で中国に逆転され、最終種目の鉄棒では2人が落下。合計273・093点で中国に及ばず、銀メダルに終わった。両ふくらはぎに不安を抱えるエース・内村航平(22=コナミ)は全6種目で奮闘したが、鉄棒ではまさかの落下で力尽きた。内村は14日の個人総合決勝で前人未到の3連覇を狙う。

 最終種目の鉄棒。最後の演技者となった内村を待っていたのは絶望的な戦いだった。全演技を終えた中国を逆転するために必要なスコアは16・768点。演技価値点6・7点の構成を完璧に遂行し、出来栄え評価の実施点で10点満点を出しても届かない。それでもD難度の離れ技にトライしたが、まさかの落下。「凄く悔しい。中国に届かないので、ちょっと集中力が切れた」と唇をかみしめた。

 予選では最高得点をマークし、33年ぶりの金メダル奪還の機運は高まっていた。決勝も4種目目の跳馬でトップに立つ理想的な展開も、5種目目で中国にリードを許した。鉄棒では田中和が15・141でまとめ、床運動の中国に0・034点差。しかし2人目の田中佑が落下し、逆転の望みを断たれた。

 「しんどかったですね。足はつらなかったけど、試合が終わると凄く足にくる」。激闘を終えた内村は顔をしかめた。9日の予選でつった両ふくらはぎに不安が残る状態で、世界大会で初めて団体決勝の全6種目に出場。演技間の休憩が少ない決勝では体力は限界に達していたが鉄棒の落下以外はミスなくまとめ1人で91・723点を稼いだ。

 7年前の夏、体操ニッポンが頂に立つ瞬間を見た。04年アテネ五輪男子団体で日本が優勝。当時、東洋高1年の内村は深夜、テレビの前から動けなかった。憧れの塚原らの雄姿は諫早中時代に全国42位、この年の高校総体も出場できなかった15歳にはまぶしかった。しかし、夢はかなわず3大会連続の銀。それでも「凄く金に近い銀だったと思う。(ロンドン)五輪の金メダルが一番の目標なので、ここで悔しがっても仕方ない」と前を向いた。

 14日には史上初の3連覇が懸かる個人総合が始まる。種目別でも5種目で決勝進出を果たした。悔しさを発奮材料に変え、体操ニッポンのエースの意地を見せつける。

 ▼山室光史 貢献できたのは良かったけど(銀メダルは)残念としか言いようがない。中国には気迫みたいなものを感じた。日本も真剣にやってるけど、何かが足りない。鬼気迫る練習をやっていたか、といわれると、そういうところかもしれない。

 ▼小林研也 金メダルを目指しての銀だから、正直悔しい。自分の落下がなければ(最終種目の)鉄棒の演技も違っていたと思う。全ては僕から始まった。

 ▼沖口誠 完璧ではなかったけれど、最低限の仕事はできた。(今後は)床と跳馬以外でも使ってもらえるようにしたい。 

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2011年10月13日のニュース