文科省とNHKが“お墨付き” 本場所半年ぶり再開へ 

[ 2011年6月2日 06:00 ]

八百長問題への対応などについて高木文科相(右)に報告書を手渡し、謝罪する日本相撲協会の放駒理事長(中央)ら

 大相撲の本場所が半年ぶりに再開されることになった。日本相撲協会の放駒理事長(元大関・魁傑)は1日、監督官庁の文部科学省を訪問し、八百長問題の調査結果や処分内容、技量審査場所で施した再発防止策の成果などを高木義明文科相に報告した。同省は相撲協会の対応に一定の評価を下し、本場所再開を容認。相撲協会は2日の臨時理事会で、名古屋場所(7月10日初日)の通常開催を正式に決定することになった。

 政局の混乱の間隙(かんげき)を縫って、放駒理事長が文科省に出向いた。2月17日以来の訪問は「今回の故意による無気力相撲の件で世間を騒がせ、大変申し訳ありませんでした」との謝罪で始まり、八百長問題に関する調査報告書と組織改革に向けた工程表などを提出。会談の中では「あす理事会を開きたい」と、名古屋場所を通常開催としたい意向を申し入れた。

 これを受け、高木文科相は「八百長に関係する部分では一定の取り組みをしていただいた。改革しようという姿勢は出している」と評価するとともに本場所再開を了承。そのうえで「緊張感を持って協会運営に当たっていただきたい」と注文をつけた。放駒理事長は「大臣には一定の評価をいただいた。再発防止策に関してはこれで終わりではない」と神妙に話した。

 放駒理事長は文科省への訪問を終えると、その足でNHKに出向き、一連の経緯などを松本正之会長に報告した。松本会長も「いろいろなことをきちっと積み重ね、改革がかなり進んでいる感じを受けた」と評価。本場所再開時の中継についても「われわれもそういう気持ちで見守っている」と前向きに検討していく考えを示した。

 文科省とNHKから“お墨付き”をもらった相撲協会は、2日の臨時理事会で名古屋場所の通常開催を決定し、半年ぶりの本場所再開への準備に取りかかる。ただ、文科省からは「不祥事を今後起こさないための体質改善として、ガバナンスの強化をしてもらいたい」(芦立訓・競技スポーツ課課長)と厳しくくぎを刺されたことも事実。八百長問題に一区切りがついたとはいえ、相撲協会が本当の意味で信頼を回復したわけではない。

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2011年6月2日のニュース