黒海&臥牙丸 夜通し痛飲…酔って店“破壊”

[ 2011年1月25日 06:00 ]

事件があった墨田区内の飲食店の店内客席の間仕切りのガラス部分は破損していた

 大相撲の幕内力士、黒海(29=追手風部屋)と臥牙丸(23=北の湖部屋)が初場所6日目の14日朝に、東京都墨田区の飲食店で店のガラスを割る騒ぎを起こしていたことが24日、分かった。店側は被害届を提出したが、すでに示談が成立しているという。日本相撲協会は、場所中に対戦する可能性がある力士同士が早朝まで痛飲していた事実を問題視し、2人に対し口頭で厳重注意した。野球賭博問題から半年、「新生」をテーマに信頼回復を目指す相撲協会が早くもつまずいた。

 警視庁本所警察署と相撲協会の話を総合すると、騒ぎがあったのは、東京都墨田区江東橋4丁目のビル2階にあるインド料理店。14日午前7時半ごろ、臥牙丸と食事をしていた黒海が酔って店内客席の間仕切りガラスを割る騒ぎを起こした。親族を亡くした臥牙丸が落ち込んでいたため、13日の取組後に兄貴分の黒海が励ますために食事に誘い、そのまま翌日の朝まで及ぶ深酒になったという。事態を重くみた黒海の師匠・追手風親方(元幕内・大翔山)が5日後の19日になって放駒理事長(元大関・魁傑)に経緯を報告。この日までに店側との示談が成立したという。

 店側から本所署に被害届が出されたことから、2人のケンカが騒動の原因との情報もある。本所署も器物損壊の疑いもあるとみて2人から事情を聴く方針だ。ただ、相撲協会の放駒理事長は「ガラスが割れたのは席を立った黒海の手が席と席を仕切るガラス板に当たったため」とし、ケンカがあったことは否定。当事者の臥牙丸はこの日、本紙の取材に対し「今忙しいので…。すみません。今は私からは何も…。本当にすみません」とだけ話した。

 ケンカが原因かどうかはともかく、場所中に対戦する可能性のある(初場所での対戦はなし)力士2人が朝まで痛飲していたのは事実。しかも、飲み始めた13日の取組も飲み終えた14日も、そろって黒星では話にならない。当然、師匠の監督責任も問題となってくる。

 二所ノ関生活指導部長(元関脇・金剛)と顧問弁護士はこの日、東京都内で2人を呼び出し事情聴取。場所中に明け方まで飲んでいたことを、口頭で厳重注意した。黒海は08年8月に不整脈の治療を理由に夏巡業を休場しながら、東京都港区のロシア大使館周辺でロシアと母国グルジアの軍事衝突に反対するデモに参加し、協会から厳重注意を受けた過去がある。放駒理事長は「顔が合う(対戦する)かもしれない力士同士が、そんな遅い時間(朝)まで酒を飲んでいたことが問題」と憤りを隠さなかった。

 相撲協会は昨年夏に野球賭博問題が明るみになり、NHKの中継中止や謹慎力士が続出するなど、未曽有の不祥事を起こしたばかり。9日に行われた初場所初日の協会あいさつで放駒理事長は「昨年失った信頼を回復するため、協会一丸となって、相撲協会“新生の年”となりますよう全力を尽くします」と宣言したが、そのわずか5日後に力士による騒動が発生した。まるで反省の色が見られない事態だけに、あらためて相撲協会の体質が問われそうだ。

 ◆臥牙丸 勝(ががまる・まさる=本名ジュゲリ・ティムラズ)1987年(昭62)2月23日、グルジア共和国トビリシ市出身の23歳。北の湖部屋所属。05年11月の九州場所で初土俵。06年1月の初場所で序ノ口優勝、09年秋場所で幕下優勝し同11月の九州場所で新十両に昇進し10年1月の初場所で十両優勝した。同7月の名古屋場所で新入幕。今年の初場所は西前頭6枚目で5勝10敗だった。1メートル85、202キロ。 

 ◆黒海 太(こっかい・ふとし=本名ツァグリア・メラブ・レブァン)1981年(昭56)3月10日、グルジア共和国トビリシ市出身の29歳。追手風部屋所属。01年5月の夏場所で初土俵。同11月の九州場所で序二段優勝、02年1月の初場所で三段目優勝。03年1月の初場所で幕下優勝し同5月の夏場所で新十両に昇進。04年1月の初場所で新入幕した。敢闘賞2回。今年の初場所は東前頭15枚目で3勝12敗だった。1メートル90、148キロ。 

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2011年1月25日のニュース