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なでしこ 金メダル 高倉監督「選手の“勝ちたい”という気持ち以外、なにものでもない」

[ 2018年9月1日 01:48 ]

 なでしこジャパンは決勝で中国を1―0で下し、金メダルを獲得した。後半45分に途中出場のFW菅沢優衣香(27=浦和)がヘディングで決勝点。16年4月の高倉麻子監督(50)就任以来、4月のアジア杯に続いて、2度目のアジア制覇となった。

 アジアの頂点で、笑顔の花が咲いた。歓喜の瞬間は、終了間際の後半45分に訪れた。「ゲームを落ち着かせてほしい。チャンスが必ず来るから、仕留めて」。後半11分に高倉監督からそう声を掛けられ送り込まれた菅沢が決めた。「衣美(中島)からいいボールが来た。体のどこかに当てれば入ると思ったので、ニアに入った」。右クロスに体を投げ出してダイビングヘッド。両手を真横に広げて走り出した体に、ベンチから駆け寄ったイレブンが次々と覆い被さった。

 苦しみ抜いてつかんだ白星だった。体格差で劣る中国に球際で競り負け、序盤から劣勢が続いた。「ゲーム自体はほとんどペースを握られている状態で、その中でも選手が非常によく落ち着いてその時間を耐えた。少ないチャンスを、ああいった時間でものにして勝負強く勝利をもぎとったのは、選手の“勝ちたい”という気持ち以外、なにものでもない」。高倉監督は胸を張った。

 一方で、課題についてもきっちりと言及。「本来はゲームの主導権を握って先制点を取り、ゲームを支配してゲームを終えることを目指している。(4月のアジア杯の)どちらも終盤の得点で勝つ形になっているということは、目指すところにはまだ力が足りないということ。ただ逆に、足りない中でも選手の強い思いが今日の勝利をたぐりよせた。先代のなでしこジャパンからしっかり血を受け継いでいる」と力を込めた。

 19年W杯フランス大会、そして20年東京五輪へ。これからなでしこジャパンはチーム作りの最終段階に突入していく。「技術、判断、フィジカル、全てにおいてもう一回り成長しなければいけないと実感している」。アジアを制したとはいえ、課題はまだ多い。それでも指揮官には自信が芽生えた。金メダルを手にしたイレブンの表情が、それを与えてくれた。「選手は半分うれしそうな顔をしていたけど、半分は悔しそうな顔だったので、またこのチームは大きく前進していけるのかなと思う」。まっすぐな瞳で、チームの未来に目を向けた。

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2018年8月31日のニュース