隠れ表彰台候補!男子400M障害の野沢 今季世界3位
注目は男子100メートルだけじゃない。陸上男子400メートル障害の野沢啓佑(25)らミズノ所属のリオデジャネイロ五輪陸上代表が6日、都内で練習を公開した。野沢が今季マークした自己ベスト48秒67は、世界3位にランクイン。世界選手権で2度の銅メダルを獲得した日本記録保持者・為末大氏(38)も認める好素材が、初の夢舞台で表彰台に駆け上がる。
男子100メートルで9秒台がマークされれば偉業だが、400メートル障害のメダルだって劣らぬ偉業だ。野沢が5月のセイコー・ゴールデングランプリ川崎で出した48秒67は、世界ランク3位。まだ全米選手権の同種目が終了していないが、現時点で堂々のメダル圏内だ。今季48秒台を3度マークしているのも野沢だけで、安定感も光る。初の夢舞台に挑む25歳は、冷静に現状を見つめた。
「実際にトップの選手と一緒に走っているわけではないので。世界3位は知っているけど、あくまでもそれぞれが別の場所で走った結果。リオでは冷静に自分のレースができるようにしたい」
野沢の持ち味は先行力だ。大きなストライドでスピードに乗り、ライバルを序盤で引き離す。世界選手権で2度銅メダルを獲得し、今も残る47秒89の日本記録を持つ為末氏は「バネがあって、弾むような走りで歩幅を広く取れるのが、彼の特長ですね」と解説。現役時代に“侍ハードラー”と呼ばれた同氏も、五輪では決勝に届かなかった。メダルはもちろん、ファイナル進出でも同種目初の快挙。「着実に1レースずつ力を出していきたい」と野沢は力を込めた。
明確な課題もある。「ハードリングに関しては、少しブレーキを強くして上方向に跳ぶ癖がありますね」と為末氏は分析。テクニックと走力が融合した時、眼前に新たな世界が広がるはずだ。「為末氏のような第一人者になりたいか?」と問われた野沢は、落ち着いた口調で言った。「結果的にそういう立場になれたらいい。責任も伴うし、それに見合った選手になりたい」。五輪の表彰台へ駆け上がり、25歳が“侍ハードラー”を超える。
◆野沢 啓佑(のざわ・けいすけ)1991年(平3)6月7日、山梨県出身の25歳。甲西中で陸上を始め、110メートル障害が専門。巨摩高2年で400メートル障害に転向した。早大を経てミズノに入社。15年和歌山国体で優勝し、今年の日本選手権も制した。自己ベストは48秒67。1メートル75、62キロ。
◇男子400メートル障害の今季上位◇
(1)ダッチ(米国)48秒10
(2)ホワイト(ジャマイカ)48秒66
(3)野沢 啓佑(ミズノ)48秒67
(3)バンジル(南アフリカ)48秒67
(5)ティンスリー(米国)48秒74
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