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沢、笑顔の復活弾!「サポーターに恩返しできたかな」

[ 2012年7月12日 06:00 ]

<日本・オーストラリア>後半、ゴールを決め喜ぶ沢(中央)

キリンチャレンジカップ 日本3―0オーストラリア

(7月11日 国立)
 なでしこジャパンの大黒柱が復活ゴールを決めた。ロンドン五輪に出場する男女の日本代表は11日、東京・国立競技場で壮行試合を行い、なでしこジャパンは後半13分の沢穂希(33=INAC神戸)のゴールなどでオーストラリアに3―0で快勝した。沢の国際Aマッチでのゴールは昨年7月のW杯決勝の米国戦以来360日ぶり。今年に入って良性発作性頭位めまい症などで苦しんだが、五輪本番に向けて順調な仕上がりを披露した。

 ファンやチームメートだけじゃない。その瞬間を待ち望んでいたのは誰よりも沢本人だった。後半13分、ゴール前の混戦から右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。昨年7月17日のW杯決勝の米国戦以来の復活ゴール。スタジアムは大きく揺れ、背番号10を中心に歓喜の輪ができた。

 「国立で(ゴールを)取れるのは特別なこと。支えてくれたサポーターに得点という形で恩返しができたかな」。国内での五輪前最後の試合で決めた360日ぶりの代表ゴール。数々の歴史を刻んだエースも完璧すぎるストーリーに思わず照れ笑いした。

 前半から積極的に前線に飛び出した。前半17分、31分はいずれも頭で合わせた。ともにオフサイドだったが、ゴールへの感性は高まっていった。そして後半13分。「沢さん、絶対、点に行こうね!」と背中を押し続けた宮間の左CKからダメ押しの3点目が生まれた。

 病とも決別した。3月に発症した良性発作性頭位めまい症。戦列を離れた1カ月半、顔色は悪く表情は沈んだ。復帰してもミスを恐れる消極的なプレーばかりで佐々木監督が高く評価するボール奪取能力は鳴りを潜めた。表情が晴れたのは4度目の五輪代表の座を決めてから。「吹っ切れた。やっとサッカーが楽しいと思えた」と自然と笑顔が出るようになった。

 恩人にプレゼントを渡したのもちょうどその頃だ。ボールを蹴られない間、二人三脚でリハビリに付き合ってくれたINAC神戸の山田晃広チーフトレーナー(37)の目の前でユニホームに「感謝」と書いて渡した。一緒に病院に出向き、めまい症について勉強したり愚痴を聞いてくれたり…。トレーナーという関係を超えたサポートに沢なりの方法で感謝の言葉を伝えた。

 復活ゴールは始まりにすぎない。「金メダルを獲るまでまだやることがあるけれど焦らずやりたい」。ロンドン五輪の決勝まで約1カ月。もっとも輝く色へ向かって突き進む態勢が、ようやく整った。

 ▽11年W杯ドイツ大会決勝・米国戦の沢のゴール 90分間で決着がつかず、1―1で延長戦に突入。延長前半14分に米国に勝ち越しを許したが、同後半12分に沢のゴールで追いついた。宮間の左CKにニアサイドに飛び込み、右足アウトサイドで技ありの一撃。PK戦に持ち込むと3―1で勝ち、W杯優勝を成し遂げた。沢は同大会で通算5得点を挙げ得点女王となり、MVPも獲得した。

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2012年7月12日のニュース