元SMAPのオートレーサー森且行「体が覚えていてくれた」「一緒に走った7人に感謝」奇跡の復活独走勝利

[ 2023年4月6日 16:00 ]

<オートレース初日>レース後にロッカーで、Vサインする森且行(現場代表撮影)クレジット不要
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 元SMAPのメンバーで、人気オートレーサーの森且行(49=川口)が6日、川口オートレース場で開催された普通開催第1回1節9Rで802日ぶりの復帰を果たし、奇跡の復活勝利を収めた。

 入場者累計は前節最終日の1809人の倍以上にあたる3852人。温かな大歓声に送られてオーバルに登場し、試走で3・32の一番時計を記録。単勝1・2倍と圧倒的な支持を受けて臨んだレースでは気迫をほとばしらせた。ハンデ30メートルの8号車で出走し、まずは好スタートを決めた。1周目3コーナーでは7番目。そこから豪快かつ巧みなハンドリングで車群をかいくぐった。「2年3カ月休んでいても体が覚えていてくれた」。2周目1コーナーでトップに浮上。あとは一人旅を決めるだけだった。

 21年1月24日に飯塚オートレース場で開催された「G1開設64周年記念」最終日11R中に、バランスを崩した他の選手と接触して落車。骨盤骨折、腰椎破裂骨折などの重傷で長期欠場していた。生命にもかかわる大事故。何度も「引退」の文字が頭をよぎった。しかしバイクへの、オートレースへの愛情が消えることはなかった。5度にわたる手術、懸命なリハビリを経ての復帰。長い暗闇を抜けた。

「まずは一緒に走った7人の選手に感謝。そして今まで支えてくれた周りの方々、応援してくれたファンの皆さんに感謝を伝えたい」と飾らない言葉を紡いだ。復帰を決めた思いは「手応えは冬場というか12月から練習参加を始めて、1月くらいですかね」と振り返る。「後輩、同期とかと練習で合わせてもらってそこで同じくらいに走れたときにそろそろ復帰する準備をしようと思いましたね。まだ戻っていない感じはありますけど、今日はたまたま。初日なので(相手が)分散されているので、これが勝ち上がりなので最終日の優勝戦まで行けていれば戻ってきたんじゃないかと自分でも感じると思います」とかみしめるように話した。

 生命の危機すらあった大事故から2年3カ月。「長いような短かったような…」。愛する場所に戻るため、必死に駆け抜けてきただけに振り返っても特別な感情はない。それでも、その間、周囲の人々の温かさを改めて感じ、またそれが自らの力になった。「2年3カ月の間に退院してからはいろんな方面でイベントをやらせてもらえて、ホントにそのおかげでファンの皆さんと会えて応援してもらって。だから2年3カ月は楽しく過ごせた時間でしたね」と柔らかな笑みを浮かべた。

 ようやく戻ってくることができた。「一番大きな目標はもう一度日本一になりたい。ですけれども、そんな甘くないと思うので、いまB級なので、とにかくSGのレースに出られるくらいまではいきたいと思っています。まあ、S級になればSG全部出られるので、そこを目標に、時間がかかっても一生懸命頑張っていきたいと思います」と言葉をかみしめながら前を向いた。

 復活を、そして新たなレース人生の幕を開ける独走勝利。森が愛する場所、そしているべき場所に帰ってきた。

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