【浜名湖・SGメモリアル】片岡 涙のSG初制覇 デビューから14年9カ月 2艇Fの“乱戦”制した

[ 2022年8月29日 05:30 ]

SGを初制覇した片岡(撮影・島崎忠彦)
Photo By スポニチ

 静岡県・ボートレース浜名湖の「SG第68回ボートレースメモリアル」は28日、最終日12Rで優勝戦が行われた。3号艇の新田雄史と、4号艇の白井英治がフライングに散り、13億円以上の大返還。冷静に差した6号艇の片岡雅裕(36=香川)がF艇前のきで繰り上がり。07年11月のデビューから14年9カ月でSG初制覇を達成した。

 誰もが予期せぬ結末だった。本番直前に吹き始めた南風(ホーム向かい風)が選手のスタートを狂わせた。インの菊地はコンマ19と遅れ、新田と白井は痛恨のスリットオーバー。その中で6コースからコンマ05を決めた片岡が最内差しからスルーッと進出。先頭に立った新田の代わりに繰り上がって2M先取りに成功した。片岡が冷静に振り返る。
 「(優勝の可能性は)少ないと思っていたけど、風が吹いた時に“何かあるかもな”と思いました。向かい風の時の景色を思い出しながら、早くならないようにしっかり。バックに出てから3、4(の赤ランプ)が点灯しているのを見て1着やと思って。山口さんが隣にいたのでしっかり2Mを回ろうと」

 準優勝戦の2Mでは菊地の差し返しを許したが、優勝戦は逆転を許さず。“神風”を味方につけ、ニューヒーローが誕生した。

 無観客の表彰セレモニーでは「師匠(秋山広一)と出会った時のことを思い出したら泣けてきました」と感涙。元自衛隊員の経歴を持つ異色のレーサー。三重県の陸上自衛隊明野駐屯地でヘリコプターの整備をしていた。ボートレース津の存在からボート界に興味を持ち、勝負の世界に飛び込んだ。「自分自身で頑張ったらどこまでもいけるんだなあと憧れました。師匠からは早く強くなって、早く稼げと言われていました」。道を示してくれた師匠に感謝しきり。優勝を誰に伝えたいかとの問いに、「師匠っすね」と答えた。晩夏のメモリアルで夢をかなえた。

 獲得賞金ランキングは40位から3位にジャンプアップ。これまで経験したことのない大舞台が視野に入った。「見たことのない景色を見ることができると思います。イメージしながら前に進んでいきたい」。令和のボートレース界に、“土佐のいごっそう”が維新の風を吹かせる。 

▼優勝戦VTR センターから捲りにかかった新田が先頭に立つもフライングで失格。冷静に他の5艇を差した6コースの片岡雅裕が伸びて道中菊地と競るも、内有利に2Mを先取り、SG初優勝を飾った。菊地は2Mで山口に内を突かれてしまい3着に終わった。

 ◇片岡 雅裕(かたおか・まさひろ)1986年(昭61)2月11日生まれ、高知県出身の36歳。07年11月に香川支部の101期生としてまるがめでデビュー。10年3月にまるがめで初優勝。通算28VでSGは3優出で初優勝。1メートル55、52キロ。同期は篠崎仁志、守屋美穂ら。

続きを表示

この記事のフォト

2022年8月29日のニュース