【菊花賞】ジュンツバサ100点“長躯短背”の高密度やんちゃボディー

[ 2015年10月21日 05:30 ]

ジュンツバサ

 史上最少キャリアの菊花賞馬誕生!?今年2月に引退した鈴木康弘元調教師(71)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。「第76回菊花賞」ではリアファルとともにデビューわずか5戦目のジュンツバサを満点採点した。秋のG1・2戦連続で優勝馬をズバリ当てた達眼がイチ押しするボディーとは…。

【菊花賞】

 ひょっとしたら、大変な競走馬になるかもしれない。ジュンツバサの立ち姿に私の目線がしばらくクギ付けになりました。顔つきからしてライバルとは違う。勝ち気な目、精かんな顎、竹を割ったような耳、大きな鼻の穴…。良く言えば、たくましい、悪く言えば、やんちゃ。こういう顔つきの馬は手に負えない暴れ馬になる恐れがある半面、レースですさまじい闘争心を燃やす可能性もあります。激しい気性で知られる父ステイゴールド譲りなのか。顔相で決まるほど競馬は単純ではありません。それでも、このやんちゃ顔には死力を尽くすゴール前で歯を食いしばって踏ん張る根性を感じるのです。

 馬格も顔つき同様、とても特徴的です。肩とトモ(後肢)が発達しているため背中が短い。対照的に腹の下はかなり長い。昔から良馬の典型といわれた「長躯(ちょうく)短背」の馬体です。たとえば、15ハンド(欧米で馬の体高に用いる単位=体高1メートル52強)の小さな名馬ハイペリオン(33年の英2冠馬)、私が修業した英国のナショナルスタッドで見た種牡馬ネヴァーセイダイ(54年英2冠馬)も長躯短背でした。距離に不安がある背中の短さを十分に補う胴の長さ。3000メートルにも対応できる体形です。

 ジュンツバサの馬体の特徴はもうひとつ。腹回りが牝馬のように細く映るのに体重が490キロもあることです。今年の2冠馬ドゥラメンテもほっそりとした見た目以上に馬体重がありました。重くて密度の高い筋肉を備えているからでしょう。キャリアわずか5戦目。G1の厳しい競馬に対応できるのか。そんな不安を抱かせる半面、大きな可能性も感じさせる馬体です。 (NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘 1944年(昭19)4月19日、東京生まれの71歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許を取得し、東京競馬場で開業。78年の開場とともに美浦へ。93~03年には日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなどで27勝。

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