【スプリンターズS】ストレイトガール100点 典型的な短距離体形

[ 2015年9月30日 05:30 ]

ストレイトガール

 飛び抜けたボディーで短距離界の頂点へ――。今年2月に引退した鈴木康弘元調教師(71)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」をお届けする。今秋の開幕戦「第49回スプリンターズS」で満点評価を与えたのはストレイトガール。39年間の調教師生活でJRA重賞27勝を挙げた伯楽の眼鏡にかなった馬体とは…。

【スプリンターズS】

 辞書を引いてみると、「達眼」とは物事の本質や真偽を見分ける眼力とあります。大それたタイトルを付けてもらったものです。私にそんな鋭い眼力があるかどうかはともかく、今年2月に引退するまで半世紀弱、サラブレッドに関わってきた目でG1出走予定馬の馬体を吟味していきたいと思っています。

 スプリンターズS有力馬の中ではストレイトガールが最も良く映りました。460キロ前後の牝馬ですが、トモ(後肢)の重量感が際立っています。トモは車に例えればエンジン部分。そこから繰り出されるパワーを後肢の球節と飛節で受けてしっかりと大地を蹴っていけるのです。この特徴的な大きなトモに加えて、胴が少し詰まっている。典型的なスプリンター体形です。

 筋肉がしっかりと付いていて、どこにも緩みがない。毛ヅヤもさえています。6歳秋を迎えた牝馬。大きな変わり身こそないでしょうが、休み明けを1度使ったことがいい方に向いていると分かります。

 セイコーライコウの管理調教師として対決した昨年も感じましたが、この牝馬は実にキリッとした顔立ちをしています。利口そうな目、竹を割ったような耳。日本には競走馬がうるさいと両耳をメンコで覆ってしまう習慣が残っていますが、耳は感情を伝え、外部の物音を捉えるアンテナ。その大切な耳が斜めに割った門松の竹のようにとがっている姿にクレバーさを感じます。

 天高く、馬肥ゆる秋。多くの馬が体を良く見せる季節とはいえ、ストレイトガールは際立って映ります。点数を付けるなら100点満点です。 (NHK競馬解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日、東京生まれの71歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、美浦で開業。93~03年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

続きを表示

2015年9月30日のニュース