悲しみ乗り越えたニッポーテイオー 2年前“親友”ダイユウサク急死
この地での生活は16年目を迎えた。今年で32歳だけに、実に生涯の半分を過ごしていることになる。先行力とスピードを武器にG1・3勝を挙げたニッポーテイオー。けい養先は北海道浦河のうらかわ優駿ビレッジAERU。乗馬インストラクターの太田篤志さん(29)は「今年で32歳だし、もっと注目されてもいいですね。大きなケガや病気はしたことがありませんし、食欲もあります」と笑みを浮かべる。
ただ、振り返ればスタッフを心配させたこともあった。一昨年12月、仲良しのダイユウサクが急死したため、体調を崩したのだ。「ダイユウサクがいた時は、ニッポーが兄貴分だったんです。亡くなった当日は、何でダイユウサクが出てこないんだろうという感じで、厩舎の方向ばかり見ていました。一時はしょんぼりとしてしまって、食欲も落ちましたね」。今ではすっかり回復。かつては年下でやんちゃなウイニングチケットやヒシマサルと距離を置いていたが、今ではつっかけられて逃げるなど、いくらか絡めるようになってきた。
ところで、AERUではこの3頭が1つの放牧地で生活している。3頭とも去勢されているとはいえ気の強い牡馬、それも元種牡馬である。ケンカが始まらないかと心配になるが…。「確かにケガをする可能性はあります。ただ、一緒に走ることで運動になりますし、いい効果もあると思うんです。ニッポーもウイニングチケットの後ろに付いて走ったりしてますよ。年も年なので、こちらとしてはあまり走ってほしくないんですけどね(笑い)」。太田さんの視線の先には、放牧地を駆け回るニッポーテイオーの姿があった。若い2頭からパワーをもらい、まだまだ元気な姿を見せてくれそうだ。
◆ニッポーテイオー(セン32)1983年(昭58)4月21日生まれ。父リイフォー、母チヨダマサコ。生産者は北海道静内郡静内町(現・日高郡新ひだか町)の千代田牧場。現役時代は美浦・久保田厩舎に所属し21戦8勝。うちG1・3勝、重賞7勝。類いまれなスピードを武器に昭和末期のマイルから中距離路線を席巻。4歳時の天皇賞・秋を5馬身差で制してG1初制覇。続くマイルCS、翌年の安田記念も完勝だった。種牡馬としてはインターマイウェイとダイタクテイオーがJRAで重賞V。ハルウララの父としても知られる。
≪乗馬やパークゴルフも≫うらかわ優駿ビレッジAERUは新千歳空港から車で約2時間半。宿泊施設のほか、体験乗馬やパークゴルフなどアクティビティーが充実している。また、7月から10月にかけて行われている日高育成牧場見学ツアー(7~9月は水曜と金曜、10月は水曜)も人気だ。近隣にはイーストスタッドと日高スタリオンステーションの2つの種馬場があり、時期によっては見学可能。丸1日かけて浦河観光を楽しみたい。
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