【AJC杯】クリールカイザー初重賞、田辺好騎乗 見たかゴールド

[ 2015年1月26日 05:30 ]

レースを制したクリールカイザーの田辺は後方をチラリ

 「第56回AJC杯」が25日、中山競馬場で行われ、4番人気の田辺騎乗クリールカイザーがロングスパートで重賞初制覇を飾った。単勝1・3倍の1番人気に支持されたゴールドシップは直線伸び切れず7着に大敗した。

【レース結果】

 芦毛の怪物を封じ込める鮮やかな逃走劇。クリールカイザーと初コンビの田辺が満面に笑みを浮かべながら検量室に引き揚げてくる。「ゴールドシップをどうしたら負かせるか、そればかり考えていた。最後までよく辛抱してくれた」と振り返った。

 発馬とともに手綱を押して先頭へ。向正面でラインブラッドに外からかわされたが、4コーナーで再び先頭を奪い返して後続を突き放した。「後ろからでは勝負にならない。早めに動いてゴールドシップを封じ込んでくれ」。レースの直前に相沢師から受けた注文通りのロングスパート。食い下がるミトラに1馬身1/4差をつけ、重賞8度目の挑戦で初制覇だ。

 「怪物を負かして、どうもすみません」。出迎えた相沢師はこんなジョークで照れ笑いを浮かべたが、胸には万感の思いが去来している。「ヴェルデグリーンの弔い合戦だった。このレースだけはどうしても勝ちたかった」。表彰式を終えると、涙をこらえながらつぶやいた。昨年のAJC杯を制したヴェルデグリーンが腸捻転で急死したのは昨夏。「翌年(15年)のこのレースはクリールカイザーで手向けの勝利を」。誓いを立てた同師は有馬記念に見向きもせず、AJC杯に目標を定めた。

 「ヴェルデグリーンとクリールカイザーに重賞を勝たせる」。両馬がまだ条件クラスに低迷していた一昨年、相沢師が掲げた目標も3年越しでかなえた。「競馬を教えてくれたのは吉田豊。今回は乗れなかったが、感謝したい」。主戦の吉田が自厩舎のショウナンラグーンに騎乗することになったため、クリールカイザーの騎手は先週の時点で宙に浮いていた。ちょうどそんな折、田辺が主戦を務めたコパノリッキー(東海S)の手綱も武豊へ。不思議な縁をつくる乗り代わり。昨年、ヴェルデグリーンでAJC杯を制した田辺へ連覇のバトンがつながった。

 「ゴールドシップを負かしたのだから胸を張ってG1へ行ける」と田辺。今後は日経賞(3月28日、中山)から天皇賞・春へ。ヴェルデグリーンで果たせなかった夢に挑む。

 ◆クリールカイザー 父キングヘイロー 母スマイルコンテスト(母の父サッカーボーイ)牡6歳 美浦・相沢厩舎所属 馬主・横山修二氏 生産者・北海道新ひだか町の千代田牧場 戦績29戦6勝 総獲得賞金2億3734万4000円。

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