【有馬記念】ゴールドシップ V請負人ムーアで復権だ!

[ 2013年12月17日 05:30 ]

有馬記念でゴールドシップに騎乗するライアン・ムーア

 今年の中央競馬を締めくくるグランプリ「第58回有馬記念」が目前と迫った。GP連覇を狙うゴールドシップ(牡4)は、ジャパンCで15着に大敗し最大の危機にひんしている。管理する須貝尚介師(47)が優勝請負人に指名したのは、英国のライアン・ムーア(30)。名手のカジ取りで黄金の輝きを取り戻す。

【有馬記念】

 正念場だ。有馬記念連覇を狙うゴールドシップはジャパンCでまさかの15着大敗。終始後方のまま見せ場すらつくれなかった。11年夏のデビュー以来、負けても掲示板(5着以内)は確保し、直線の上位争いには加わり続けたG1・4勝馬が初めて味わった屈辱。「このままでは終われない」。ジャパンC直後から、須貝師は報道陣に囲まれるたびに決意の言葉を繰り返してきた。

 復権へ。陣営が打った最大の勝負手は、11戦連続でコンビを組んできた内田からムーアへのスイッチ。須貝師は前走を「馬も騎手も甘さを見せてしまった」と振り返った上で「(馬の)気持ちを切り替える必要がある」と話す。乗り手が代われば馬は敏感に反応する。闘争心を呼び覚ます劇薬となり得る一方で、呼吸が合わないというリスクも背負う。大きな賭けだ。

 ムーアはジャパンCで初コンビのジェンティルドンナを、先週の朝日杯FSではアジアエクスプレスをVへと導いた。優勝請負人と呼ぶにふさわしい。ある英国の競馬記者は「サイボーグのように冷徹で危険な男だ」と評する。勝負どころでどこが空くかなどの判断力が桁違いで、密集にも平気で突っ込む勇気も持ち合わせる。全力で追ってもバランスが崩れない。下半身はがちっと馬に張り付き、上半身は激しくしなって馬を鼓舞する。まさに天性の馬乗りだ。

 先週水曜、ムーアは初めてシップにまたがり坂路の1週前追いを終えると、須貝師にこう告げた。「かなり賢い馬だが難しい面がある」。わずかな時間で馬の特徴を把握した。指揮官は「やはり一流。メリットもデメリットも分かってくれた」と語る。ムーアの「コースでの動きを確かめたい。馬ともっと理解を深めたい」という要望を受け、18日の最終追いは、より実戦に近いCWコースで行う。

 須貝厩舎の躍進は目覚ましい。シップが不振の今秋もジャスタウェイで天皇賞・秋を制覇。レッドリヴェールは阪神JFを勝ち、来春の桜花賞候補に名乗りを上げた。開業わずか4年強で常勝軍団をつくり上げた敏腕トレーナー。オルフェーヴルとは最初で最後の対戦となるが「今回は相手どうこうではない。シップ自身との闘い」と静かに決戦の時を待つ。投票3位に支持したファンのためにも、このままでは終われない。

 ◆ライアン・ムーア 1983年9月18日、英国生まれの30歳。00年障害競走でデビュー。06年23歳で英リーディング。10年ワークフォースで英ダービー、凱旋門賞制覇。日本ではスノーフェアリーで10、11年エリザベス女王杯V。今年はジャパンCをジェンティルドンナ、朝日杯FSをアジアエクスプレスで制した。

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