【凱旋門賞】帰ってきたデットーリ「トレヴは勝つ資格を持った馬」

[ 2013年9月25日 06:00 ]

ヴェルメイユ賞を完勝したトレヴと騎乗したデットーリ

 フランキー・デットーリが帰ってきた。

 昨年暮れ、薬物使用疑惑が発覚し、6カ月の騎乗停止処分。長年、蜜月関係にあったゴドルフィンとの優先騎乗契約も打ち切られた。今年7月、ドバイで彼に会った際には珍しく愚痴をこぼしていた。

 「ゴドルフィンと契約が切れて、なかなか良い馬が回ってこなくなった」

 しかし、その直後。カタールの王族との新たな契約が結ばれた。王族はディアヌ賞(フランス版オークス)を制したトレヴをトレードで獲得。凱旋門賞でデットーリが同馬に騎乗することになった。

 オルフェーヴルとキズナが前哨戦を勝ったのと同じ日、同じロンシャンの2400メートルで牝馬だけによるG1・ヴェルメイユ賞が行われた。ここで初めてトレヴとコンビを組んだデットーリはこのレースを快勝してみせたのだ。

 「フランスに駆けつけて調教にもまたがった。その時に、成績通りの良い馬であることは分かったけど、それが間違いないことをあらためて証明できた」

 デットーリは満面の笑みでそう語った。

 日本馬2頭、すなわちオルフェーヴルとキズナについて尋ねると、一言だけ返ってきた。

 「日本馬の強さは痛いほど分かっている」

 ファンタスティックライトでドバイシーマクラシックを2着した時も、エクラールで香港ヴァーズを2着した際も、勝ったのは武豊が乗る日本のステイゴールドだった。デットーリが「痛いほど分かっている」というのもうなずける。

 「特にオルフェーヴルは世界でも通用どころか上位の馬であることは、昨年すでに分かっていたこと」こう補足した後「でも」と続けた。

 「トレヴも本当に素晴らしい馬。彼女は凱旋門賞を勝つ資格を持った馬だと信じているよ」

 帰ってきた世界一の名手と無敗の牝馬のコンビは、日本勢にとっても越えなければいけない存在となりそうだ。日本馬2頭のライバルは彼女かもしれない。

 ◆ランフランコ・デットーリ 1970年12月15日、イタリア生まれの42歳。94年からドバイの競走馬法人ゴドルフィンの主戦を務め、その後18年間でG1・110勝をゴドルフィンとともに挙げる。JRA初騎乗は91年ジャパンCデーの900万下で8着。JC3勝。日本では84戦18勝。昨年の凱旋門賞デーに抜き打ちで行われたドーピング検査で陽性反応。今年5月19日まで6カ月の騎乗停止となった。復帰後、カタールのジョアン殿下と主戦契約を結んだ。

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2013年9月25日のニュース