【フェブラリーS】グレープブランデー完全復活!新ダート王へ

[ 2013年2月18日 06:00 ]

グレープブランデー(右)が直線力強く抜け出しV。右から2頭目は2着エスポワールシチー

 新時代の幕開けだ。今年のG1第1弾「第30回フェブラリーS」が東京競馬場で行われ、3番人気のグレープブランデーが直線鋭く伸びて快勝。11年ジャパンダートダービー以来のG1・2勝目で完全復活を遂げれば、昨年の全国リーディングに輝いた浜中は09年菊花賞以来のG1・2勝目。上昇一途の5歳馬と24歳が、今年の競馬界を引っ張っていく。

【レース結果】

 さすがはG1馬。さすがはリーディング騎手。グレープブランデーと浜中時代の到来を印象づける快勝劇だった。浜中は右手をスタンドに向けて広げる岩田ばりのポーズ。「本当にうれしかった。昨年はリーディングを獲ったが、G1ではふがいない結果が続いた。結果が出せたことにホッとしたし、ひと皮むけていくような気がした」。引き締まった表情が収穫の大きさを物語った。

 昨年は史上3番目の若さ(23歳)でリーディングを獲得したが、G1は未勝利。年末には阪神JF、朝日杯FSで人気馬に騎乗しながら結果を出せなかった。「“リーディングでもG1勝ってないやん”などという声は聞こえてきていた。何か格好悪いなと思っていたけど、昨年はG1で結果を出したいという、いらない力みがあった」。その反省を生かした。グレープとは昨夏以来4戦ぶりのコンビ。余計なことは考えず、返し馬でつかんだ好感触を信じて臨んだ。

 スタートを決めて中団で流れに乗る。直線はジワジワと外めに持ち出し、前が空くのを待った。「馬の体と気持ちがうまくかみ合っていた。思ったより一列前に付けられたし、外に持ち出したら馬が勝手にハミをかんでくれた。自分も以前なら慌てて他馬に迷惑をかけたりしていたかもしれないけど、落ち着いて進路を確保できた」。人馬の成長が呼んだ勝利だった。

 グレープにとっても待ちに待ったG1・2勝目となった。3歳時にジャパンダートダービーを制したが、放牧先で右前蹄骨を骨折。10カ月の休養を強いられた。復活までの道のりは簡単ではなかっただけに、11年トランセンドに続く同レース2勝目となった安田師も感慨深げ。「ブランクを肥やしに馬がたくましくなった。パンとしてくれば走るな、と思っていたが年明けから馬が良くなった。この馬にはいい夢ばかり見させてもらっている」と最敬礼だ。

 3月のゴドルフィンマイル(ドバイ)に登録しているが、輸送で馬体が減るタイプということもあり参戦は微妙。今年の最大目標はJCダート(12月1日、阪神)となる。師は「距離的にはJCダートの方が走りやすいと思う」とダートG1両獲りに意欲満々。浜中も「骨折から立ち直った馬。こういう馬は強い」とお墨付きを与えた。

 人馬ともども前途洋々。このコンビが今年のダート戦線を総ナメにするかもしれない。

 ◆グレープブランデー 父マンハッタンカフェ 母ワインアンドローズ(母の父ジャッジアンジェルーチ)牡5歳 栗東・安田厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績16戦7勝 総獲得賞金2億9675万1000円。

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