【マイルCS】パテック直線突き抜けV 武G1完全制覇王手 

[ 2012年11月19日 06:00 ]

マイルCS初制覇を成し遂げ、ファンに手を振る武豊

 武豊、G1完全制覇へマジック1。秋の最強マイラー決定戦「第29回マイルCS」が18日、京都競馬場で行われた。中団を進んだ4番人気サダムパテックが直線で内から突き抜け、G1初制覇。同馬に騎乗した武豊騎手(43=フリー)は歴代最多66勝目となるG1勝利をもぎとった。これで武豊はJRAで現存する平地G1・22競走で勝ってないのは朝日杯FSだけとなり、前人未到のG1完全制覇に王手をかけた。

【レース結果】

 サダムパテックを駆った武豊が約2年ぶりのG1制覇だ。歓喜のウイナーズサークル。ファンもユタカコールで出迎えた。「G1の表彰式の段取り、忘れちゃったな」。ユタカは報道陣を笑わせてから、お立ち台で大歓声に応えた。

 「お久しぶりです!ずっとG1で結果が出てなかったし、インタビューを受けたこともなかったので、誰よりも僕が一番喜んでいます!ホントうれしいです。つらいこともあったけれど、みんなが応援してくれていたし、早く結果で応えたいと思っていました」

 レースは武豊の読みがさえた。土曜日の雨でインコースが荒れた状況下。最内枠発進はプラスではないが覚悟を決めた。「荒れた馬場をこなせる馬だし、内を回ろう」。スタートを五分に出て中団の内ラチ沿いをキープ。展開、ポジションも狙い通りだった。

 「差し馬だけどバテないタイプ。一瞬置かれた天皇賞のレース後にそう思いました。だから坂の下りから緩急を付けずに行こうと」

 直線に向くと、先頭は早くも射程圏内。そこから3頭分ほど外に持ち出してラストスパート。外を強襲したグランプリボスを首差振り切ったところがゴールだった。

 この勝利で大記録にリーチ。マイルCSはこれまで4度2着があったものの、21回目の挑戦で初勝利。前人未到の平地G1完全制覇へ、残すは朝日杯FSのみだ。

 「ここまで来たら(完全制覇を)意識します。JRAが新しいG1をつくる前に達成したいですね」

 そう言って表情を引き締めた。

 3頭出しで挑みサダムパテックが悲願のG1初制覇。武豊と熱い抱擁を交わした西園師も「豊で勝ったことが大きいよ。彼は競馬サークルにとって大きな財産。競馬は知らなくても、みんな豊のことは知っているからね」と殊勲の鞍上を称えた。先週の京王杯2歳Sのエーシントップに続く重賞制覇で、ますます勢いに乗っていきそうだ。

 サダムパテックの次なるターゲットは香港マイル(12月9日)。もちろん鞍上は武豊だ。「2年前のエーシンフォワード(4着)は輸送でトラブルがあったし、ゲートで待たされたのもひびいた。今年はその分も頑張りたいね」と西園師。“世界の短距離王国”構築へ。その道のりは、まだスタートしたばかりだ。

 ◆サダムパテック 父フジキセキ 母サマーナイトシティ(母の父エリシオ)牡4歳 栗東・西園厩舎所属 馬主・大西定氏 生産者・北海道白老町白老ファーム 戦績16戦5勝 総獲得賞金3億5392万円。

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