【秋華賞】岩田 本馬場入場落馬も今季5勝目!年間最多G1王手

[ 2012年10月15日 06:00 ]

<秋華賞>ジェンティルドンナ騎乗の岩田騎手は3冠を達成しガッツポーズ(手前右は石坂調教師)

 この男の勢いはどこまで続くのか。昨年のアヴェンチュラに続きジェンティルドンナで秋華賞を連覇した岩田康誠騎手(38)は、スプリンターズS(ロードカナロア)に続いて秋G12連勝。今年のG1・5勝目となり、武豊、安藤勝、池添が持つ年間G1最多勝記録に王手をかけた。

 競馬史に残る接戦となったジェンティルドンナとヴィルシーナのゴール線上の攻防。その差わずか7センチ。だが、写真判定を待たずとも、岩田には勝利の確信があった。脱鞍所に引き揚げてきた時点で着順は確定していなかったが、馬上で両手の拳を力強く握りしめ「シャーッ」と叫んだ。

 本馬場入場の際にエキサイトしたジェンティルから振り落とされ右足首を負傷(診断結果は捻挫)。痛む足を引きずりながら表彰式に臨んだ。勝利インタビューでは反省の弁。「スタンドの大観衆に馬がびっくりしてしまって…。御せなかった自分が恥ずかしい」

 それでも、レース中は痛みを忘れていた。前半5F通過が62秒2というスローペースも「こういう展開も考えていた」と中団で折り合いに専念。向正面でチェリーメドゥーサが一気に仕掛けても「あそこで我慢させれば、最後は必ず凄い脚を使う」と相棒を信じた。4角で追い出すと「なかなか点火しなかった」と誤算もあったが「直線でトップギアに入り目覚めてくれた」。しぶとく食らいつくヴィルシーナを3F33秒1の剛脚でねじ伏せた。

 「冷や冷やさせてしまって…。もっと余裕を持ってエスコートしていれば」。自身の騎乗には納得が行かなくても、3冠を達成した愛馬には、過去に騎乗経験のある名牝と比較して最大級の賛辞を送った。「負けられない戦いを制したのは、馬にも大きな自信になったと思う。ブエナビスタやウオッカに匹敵する能力がある。古馬のトップホースとやっても通用する」

 この勝利で今年G1・5勝目。あと1勝で年間G1最多勝利の記録に並ぶ。「きょうは馬の潜在能力で勝たせてもらった。今度は楽に勝たせてあげられるよう、騎乗技術をさらに磨いていきたい」 今週の菊花賞では2冠が懸かるダービー馬ディープブリランテに騎乗。秋華賞Vで今年の勝利数を105とし、浜中(107勝)とのリーディング争いも佳境に入った。岩田の勝利へのあくなき探求は続いていく。

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