ディープ×グルーヴ=牝馬に3億6000万円!
「セレクトセール2011」(日本競走馬協会主催)が11日、北海道・苫小牧のノーザンホースパークで開幕。初日は1歳馬セリが行われ「エアグルーヴの2010」(父ディープインパクト)が1歳馬セリで過去最高価格となる3億6000万円(税抜き)の高額で購買された。落札したのはグローブエクワインマネージメント。また「マイケイティーズの2010」(父キングカメハメハ)が2億6000万円で落札。夢の高額馬が2頭も誕生した。
上場番号51番。注目のエアグルーヴの子が登場。お代の「8000万円」が告げられてからの動向に会場は騒然となった。あっという間に値段がつり上がり、1億、2億と大台を簡単に突破していく。3億円を突破し「トーセン」の冠名でおなじみの島川隆哉氏と、グローブエクワインマネージメント代表・多田信尊氏の一騎打ち。最後は多田氏の「3億6000万円」のコールで決着。その瞬間、場内は拍手に包まれた。
1歳馬のセリで過去最高は、89年の「2歳(現1歳)8月市場」で3億5000万円の値がついたサンゼウス。セレクトセールでは07年のアドマイヤコブラ(父フレンチデピュティ)の2億5000万円が最高。それを大きく塗り替えた。
落札した多田氏は「安くはないと思っていた。相手の方も価値を分かっておられたんでしょう。競馬だけじゃなく、繁殖のことも考えている。10年、20年後のことも考えて決めた。むしろそっちの方が大事かな。ノーザンファーム以外では門外不出の血統だしね。牝馬だからこれぐらいになったのでは」と冷静に分析した。
母エアグルーヴは初年度からアドマイヤグルーヴ(エ女王杯2勝)を出し、その後もルーラーシップなど活躍馬を輩出。その母にディープインパクトの血が加わった。
「エレガントで雰囲気があった。久々にこういう馬が出てきたね」
多田氏は06年のセレクトセールで「トゥザヴィクトリーの2006」(繁殖名ディナシー)を国内史上最高価格の6億円で落札したものの、デビュー戦を迎えられなかった苦い経験がある。「あの子は自然のアクシデントがあったからね。ファンの皆さんの期待も大きいし、こういうスター性のある馬で競馬を盛り上げたい。誰が所有するかはいずれ発表しますね」とした。今後の競馬界に話題を提供してくれる1頭になりそうだ。
◆ディープインパクト 02年産。父サンデーサイレンス。02年セレクトセールで7000万円で金子真人氏が落札。05年に7戦無敗で菊花賞を制し、史上6頭目の3冠馬となる。通算14戦12勝。G1・7勝。全て武豊が騎乗。初年度産駒が昨年デビュー。今年、桜花賞(マルセリーナ)と安田記念(リアルインパクト)優勝。
◆エアグルーヴ 93年産。父トニービン、母はオークス馬ダイナカール。95年デビューでクラシックVは96年オークスのみだが、古馬になって本格化。97年に天皇賞・秋優勝、牝馬として23年ぶりに年度代表馬に選出される。通算19戦9勝。G1・2勝。初子のアドマイヤグルーヴがエリザベス女王杯に勝ち、母子3代G1馬となる。
◆セレクトセール 日本競走馬協会が主催する日本最大のセリ市。名称は主催者が競走馬を選別(セレクト)することに由来。98年にスタート。99年以降に中断されていた1歳馬のセリは05年に再開。これまでの最高落札額はディナシー(セリ落札時の血統名=トゥザヴィクトリーの2006)の6億円。セール出身馬にはディープインパクト(購買価格7000万円)、キングカメハメハ(7800万円)、ゼンノロブロイ(9000万円など多くのG1馬がいる。
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