【ヴィクトリアM】アパパネ豪快49秒1!挑戦者として決戦へ

[ 2011年5月12日 06:00 ]

<ヴィクトリアM>坂路で追い切るアパパネ

 春の最強牝馬決定戦「第6回ヴィクトリアマイル」の最終追い切りが行われ、初対決の東西女王が早くも臨戦モード。東のアパパネは坂路で豪快な1番時計を叩き出したが、陣営はあくまでチャレンジャーの立場を貫く。受けて立つ現役最強ブエナビスタは迫力を欠く動きでも、陣営は余裕の構えを崩さない。3冠牝馬VS年度代表馬。競馬史に残る一騎打ちの幕が開いた。

 これが3冠牝馬の実力。ブエナビスタとの頂上決戦に挑むアパパネが、坂路の最終追いでポテンシャルの高さを誇示した。1F18秒台のラップで軽く息を整えてから臨んだ2本目。サトノロマネ(5歳500万)を先行させて、序盤からギア全開で駆け上がっていく。前夜からの雨で水分を含んだ重いウッドチップを激しく蹴り上げながら、猛然とパートナーに並びかける。最後は前方で調教していた別の馬が進路を狭くする形になったが、ひるまず前へ。ねじ伏せるように1馬身前に出てゴールした。

 計時モニターには4F49秒1の表示。時計の出にくい状態だった11日の美浦坂路で、ぶっちぎりの1番時計だ。「しまいは思ったよりいっぱい(1F12秒9)になったけど、最初から飛ばしているので仕方ないだろう。時計的には十分。体調も息遣いもいい。出来は100点?まあ、G1に臨むということを考えたら90点くらいかな」。控えめに口火を切った国枝師だが、愛馬に対する信頼は揺るぎない。

 前走・マイラーズCは前残りの流れで末脚を伸ばしての小差4着。「休み明け、初の牡馬相手と、いろいろ課題があった中で仕事はできたと思う。今までと違う勢力に入っても、いい勝負根性を見せてくれた。気持ちの変動がなくなり、リラックスできる余裕ができた」と評価する。

 笑顔で取材に応じた指揮官に対し、手綱を取った蛯名は表情を引き締めた。「きょうの動きに関して言えば、迫力とか凄みとか、伝わってくるものが少し物足りない気もする。良化の余地がある」。アパパネの背中を誰よりも知り、能力に絶対的な信頼を寄せる鞍上。実戦を通じて、ブエナビスタの強さも思い知らされているからこそ、あえて厳しい言葉を選んだ。「この馬も凄い実績を積んできた。牝馬同士ならという気もするが相手は男馬と思っている。どこまでやれるか」

 その思いは国枝師も同じ。「女王対決と言ってくれるのはうれしいが、向こうは牡馬相手にG1を勝ってきたチャンピオン。胸を借りるつもり」。意地もプライドもない。挑戦者として、全力でぶつかっていくだけだ。

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2011年5月12日のニュース