【松戸SSシリーズ】成田「北日本の結束力」でG1初V

[ 2011年5月6日 06:00 ]

表彰式でポーズをとる(左から)2着の伏見俊昭、1着の成田和也、3着の大塚健一郎

 今大会で最後の開催になる「東日本大震災被災地支援・SSシリーズ風光る2011(G1)」の決勝戦が5日、松戸競輪場で行われた。成田和也(32=福島・88期)が伏見俊昭の番手まくりをゴール前で差し切り優勝。賞金2390万円(副賞含む)を獲得した。成田のG1優勝は初。2着は伏見俊昭で2車単(6)―(2)5320円の決着だった。人気を集めた平原康多は5着に敗れた。

 福島勢の強い結束力を追い風に、成田がG1初Vをつかみ取った。表彰式を終えると「北日本の結束力で優勝させてもらった。勝ってうれしいというよりは、感動している」と素直に喜びを表現。ラインの先頭で引っ張った山崎と前で走った伏見に何度も頭を下げ、照れくさそうな笑顔で祝福を受けた。

 レースは関東勢の先制が予想されたが「北日本から優勝者を出したい。先行する決意を固めていた」山崎が赤板から全開で逃げた。伏見が武田の巻き返しに併せて2角から2段駆けに持ち込むと、ゴール前は伏見―成田で一騎打ち。「内を差し込まれないように気をつけた。最後は伏見さんにがむしゃらにくっつきながら差した感じ」。成田が伏見をタイヤ差かわしてVゴールを駆け抜け、S級S班18戦士の頂点に立った。

 東日本大震災発生後、福島から滋賀に避難した。「自転車だけは持って行ったが、初めての場所だし、地元のことも気になる状況で落ち着いて練習ができなかった」。現在は新潟にアパートを借りて練習に励む毎日。「まだまだ福島も大変な状況にある」中で、被災に苦しむ北日本地区へエールを送る優勝劇だ。

 「この後のG1も北日本から優勝者を出せるように頑張り、その中でいいレースをしたい。競輪を走れることに感謝。熱い走りをして、被災地支援競輪を盛り上げたい」

 強い決意で語った福島のニューヒーロー。タレントぞろいの88期卒期チャンプが、初のグランプリ出場へ一歩前進だ。
 
 ◆成田 和也(なりた・かずや)1979年(昭54)2月25日、福島県須賀川市生まれの32歳。中大卒。03年7月プロデビュー。通算成績は511戦116勝、2着101回。通算取得賞金は2億6912万円。主な優勝は第6回サマーナイトフェスティバル(10年)。SSシリーズ風光る2011。1メートル72、73キロ。血液型O。

 ≪被災地へ寄付≫SSシリーズ風光るを優勝した成田和也が100万円、2着の伏見俊昭が30万円を日本赤十字社を通じて東日本大震災被災地に寄付した。

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